8月の海外女子メジャー「AIG全英女子オープン」の前週に、「スコティッシュ女子オープン」という試合が、スコットランド西海岸のダンドナルドリンクスで行なわれました。
この大会は、1986年に欧州女子ツアーによりスタートし、2017年から米LPGAの正式日程に組み込まれました。
「全英女子オープン」の前哨戦として、多くのLPGAツアー選手を始め、世界中のトッププロが出場しており、米女子ツアーメンバーの日本人選手も出場しています。
2022年には、この年からLPGAツアーに本格参戦した古江彩佳選手が、初出場、初優勝の快挙を成し遂げました。
この経験をいかして、今年はメジャーの「アムンディ・エビアン選手権」で優勝という、大金星を射止めたと言えます。
やはり、この「スコティッシュ女子オープン」の優勝が、快挙の下地にあるといっても過言ではないでしょう。
古江選手は、今年も3位に入り、今や同大会には欠かせない選手となりました。
前置きが長くなりましたが、実は、今年からISPSがこの大会のスポンサーになり、正式に「ISPS HANDAスコティッシュ女子オープン」の名前で、スタートすることになったのです。
その理由は、昨年スポンサーを務めた香港を拠点とするテクノロジー企業の、フリードグループが撤退することになったのです。
他にスポンサーが見つからず、大会の存続が危うくなったのです。
だから、LPGAと欧州女子ツアーから、何度も何度も、私のもとにスポンサー依頼があったのです。
「全英女子オープン」の前哨戦として、今や欠かせない大会です。
これを消滅させ、スコットランドのナショナルオープンがなくなるのは、大きな損失という危機感からでした。
ISPSに依頼がきたのは、以前からLPGAや欧州女子ツアーを支援してきたからです。
LPGAと豪州女子ツアー共催の、ナショナルオープンの「ISPS HANDAオーストラリア女子オープン」の支援がその一例です。
コロナ禍まで、10年以上続きました。
「義を見てせざるは勇無きなり」です。
LPGAもヨーロッパツアー、PGAツアーも、最後に困ったらISPSだ、と思っています。
ISPSなら、何とかしてくれると思っているようです。
今まで、ずっとそうだったからです。それで、いつの間にか、ロレックス、BMWに次ぐ、世界のトップ3スポンサーになったのです。
それを聞かされ、こちらが驚いた次第です。
そんな意図はなかったからです。
今回も、ギリギリで懇願され、スポンサーを決めたのは、大会開催の1か月前(7月)という土壇場でした。
スポンサーを引き受けたのは、存亡の危機を救うだけではありません。
常日頃から、日本選手が世界に遅れてるのは、国内試合のコースの甘さだと思ってるからです。
「コースが人を育てる」とは、誠に箴言です。
それには、過酷なリンクスこそが最適です。
風、雨、寒さ、深いブッシュ、無数のポットバンカー、硬いフェアウェイとグリーン。
これ以上に、人を成長させる条件はありません。
そんな環境に挑戦して、ショットの精度を高め、メンタルを鍛えて欲しいです。
そうして、日本選手が世界で羽ばたくことは、私にとっては福祉や社会貢献の原点である、「自己実現のお手伝い」です。
それこそが、ISPSと私が掲げる理念なのです。
Photo/Ladies European Tour