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【ゴルフと私】第27回 日本男子ツアーは今年も24試合 その裏にある切羽詰まった実情とは?

昨年、DPワールドツアーとJGTOの共催で行なわれた「ISPS HANDA欧州・日本どっちが勝つかトーナメント!」で優勝した桂川有人(中央)。左はISPSの半田晴久会長。
©Eiko Oizumi

2025年の国内男子プロゴルフトーナメントが、いよいよスタートします。
今年の男子ツアーの日程は、昨年と同じ24試合と発表されました。
それで、スポーツマスコミの多くの記事に、「小康状態」という安堵の記事が目立ってました。
しかし、世界のゴルフ事情を知る私にとって、このコメントは厳し過ぎます。
年間35試合ある女子トーナメントや、米国PGAやヨーロッパツアーよりは少ないです。
しかし、オーストラリアやニュージーランド、イギリスやフランス、ドイツなどのヨーロッパ各国よりは、断然多いのです。
中南米のアルゼンチンなどは、年間数試合で、最高賞金は100万円ぐらいです。
だから、自国よりも米PGAに挑戦するのです。
年間24試合もあるというのは、本当に素晴らしく、有難い事なのです。
それが、世界のゴルフ事情を知り、長年ゴルフのスポンサーをして来た、私の感想です。
そこが、ジャーナリストとの見解の相違です。

しかし、男子ツアーの全盛期に比べると、確かに試合数は減りました。
これ以上、試合数を減らしたくない選手や、JGTOの気持ちは解ります。
そこで、(故)中山徹プロの追善トーナメントで、参加していた選手会の副会長、堀川未来夢プロに聞きました。

「選手会の皆は、来年ISPSにどうあって欲しいのかな」と。
すると、彼は言いました。

「来年は、いくつかの大会が消滅します。『長嶋茂雄招待セガサミーカップ』と、『フォー・ザ・プレーヤーズ・バイ・ザ・プレーヤーズ』などです。それだけでなく、他にもまだあるようです。そうなると、年間20試合を切る恐れがあります。その場合、日本ツアーは世界ランキングの対象から外されます。日本は、世界から取り残され、重大な危機になります。そうならないよう、新しい試合を2つでも、3つでも作って頂けないでしょうか」というものでした。

結果的には、3年契約が終了した「ISPSHANDA欧州・日本どっちが勝つかトーナメント!」と、「横浜ミナト選手権」を合わせ、合計4大会がなくなりました。
ISPSがスポンサーしたDPワールドツアー(欧州ツアー)は、契約終了でしたが、本当は続行したかったのです。
しかし、円安とDPワールドツアーの諸般の事情で、やむなく終了したのです。

ただ、20試合を切ると、世界ランキング対象から外されるというのは、堀川プロの誤解だったようです。
実際は、過去2年間の累計で、40試合以下の場合は総試合数を「40」で割り、その平均を算出して、ランキングを決める仕組みです。
だから、試合(分子)が小さければ小さいほど、ポイントが下落するのです。
そうなると、世界へ羽ばたこうとする若者の、可能性を奪うことになります。
これでは、男子ゴルフ界の未来に、暗雲が立ちこめる危機感を抱きました。

さらに、選手会長の谷原秀人プロに同じ事を聞きました。
すると、「ISPSはいつも日本一であって欲しい。来年は20試合を切る事はないと思う。僕としては、夏に北海道で、最も難しい小樽カントリーでやって欲しい」という意見でした。
それで、2人の意見を合わせ、2試合を主催する事にしたのです。

残念ながら、小樽カントリーは、この期間が改修工事中でした。
それで、北海道でその次に難しい、北海道ブルックスCCでやる事になりました。
賞金総額は、2億1300万円で、日本開催のPGAツアー「ベイカレントクラシック」を除く、日本一の賞金総額になります。
谷原プロの望み通り、日本オープンの2億1000万円より、300万多いのです。
また、予選落ちした選手全員に、5万円ずつ支給します。
これは、賞金総額には加算されません。

そして、その前の週も北海道でやり、2週連続でやる事にしました。
賞金総額6000万円で、御前水ゴルフ倶楽部でやります。
これも、予選落ちした全選手に、一律5万円を支給します。2週連続の夏の北海道、そして、いずれも千歳空港から近いので、選手や関係者の交通費なども助かります。
メインは「ISPS HANDA夏の決戦・誰が一番強いんだトーナメント」(北海道ブルックスCC 8月18日《月》〜24日《日》)と、その前が「ISPSハンダ夏に爆発どれだけバーディー取れるんだトーナメント」(御前水ゴルフ倶楽部 8月11日《月》〜17日《日》)です。
6000万の試合で肩ならしして、2億1300万の最高額試合に挑戦するのです。

これら、男子トーナメントに2試合スポンサーするのは、ISPSの基本コンセプトに基づきます。
それは、「チャリティーを進化させ、社会をより良くする」ですが、もう一つあります。
それは、「自己実現のお手伝いをする」です。
これは、社会福祉の原点ですが、一般社団法人ISPSにもあてはまります。
見て見ぬふりをするのも、自分の好意を押しつけるのも、本当ではないのです。
相手が、自己実現しようとするのを、お手伝いするのが本当です。
それが、福祉の原点でもあります。
だから、選手会長の谷原プロや、副会長の堀川プロらの願いを、実現する形で2試合やるのです。
これからも、ISPSの活動には、こういうコンセプトがある事をご理解下さい。

Photo/ISPS, Eiko Oizumi

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