Text/Eiko Oizumi
Photo/Golf Australia
12月1日〜4日に、オーストラリア・メルボルン郊外で開催された「ISPS HANDAオーストラリアンオープン」。DPワールドツアー(男子)とWPGAオーストラリア(女子)との共催で行なわれ、同じコースで同じ賞金額をかけて戦われるという、世界初の男女同週・同地開催のナショナルオープンとなった。しかも障害者ゴルファー12名も「オーストラリアン・オールアビリティ選手権」として、「オーストラリアンオープン」と同コースで3日間戦う、という画期的な試みも。ISPSはこれまでも、「ISPS HANDA VICオープン(オーストラリアで開催)」や「ISPS HANDAワールドインビテーショナル(北アイルランドで開催)」など、男、女、障害者が同時に戦える包括的な試合を開催してきたが、今回は以上のような通常のレギュラー試合ではなく、「ナショナルオープン」という点が、特別である。
開催地は、メルボルンのキングストンヒースGCとビクトリアGCという、世界のゴルフ界でも有名なサンドベルト地域に位置する名門コース2箇所を使用。予選ラウンド2日間を実施し、週末の決勝ラウンドはビクトリアGCで行なわれた。
さて、この試合の持つ「誰をも受け入れる」という包括的な性質は、それだけではない。今年からスタートしたLIVゴルフに出場しているキャメロン・スミスやマーク・リーシュマン、マット・ジョーンズ、ジェッド・モーガンらも参戦していた。現在、彼らは米PGAツアーでは出場停止となっており(DPワールドツアーでは、2月までは暫定的に出場可能)、彼らのプレーをLIVゴルフの会場以外で観戦することは難しい。それだけに、地元オーストラリアの人々にとっては、非常に貴重な体験となったことだろう。ちなみに現地で取材をしていて感じたことは、オーストラリアのギャラリーは、LIVゴルファーに対して批判がましい野次や、嫌悪感を見せることが一切ない、ということである。某オーストラリアのゴルフ関係者の中には、「LIVに対して嫌悪感を抱いているのは、アメリカくらいじゃない?僕たちはなんとも思わないし、来年のアデレードで開催されるLIVゴルフが楽しみだ」という人もいた。オーストラリアの持つおおらかな国民性が反映している、ということもあるだろうが、予選落ちはしたものの、キャメロン・スミスは大会で最もギャラリーを引き連れていた選手だった。
また、今大会では「全英オープン」の予選会も兼ねており、上位3名(既に出場権を持っているエイドリアン・メロンク、アダム・スコットを除く)が出場権を獲得。ミンウー・リー、アレハンドロ・カニザレス、ハイドン・バロンの3名が、来年のロイヤル・リバプールでの「全英オープン」出場を決めた。
1週間の大会中に、男子・女子のナショナルオープンチャンピオンと障害者ゴルフのチャンピオン、「全英オープン」出場権獲得者が決まるというのは、世界広しといえど、なかなかないこと。このようなユニークな大会をISPS HANDAはサポートしている。