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【世界のゴルフ通信】From Australia 高まるゴルフ人気と裏腹に緑地化するゴルフ場

ゴルフ人気が高まるもののゴルフ場を緑地化する動きが強まる豪州

©Getty Images

メルボルン郊外のロイヤルパークゴルフコースでピクニックを楽しむ人々。

 

ゴルフ人口が増える一方でコースが閉鎖の憂き目に

オーストラリアで人口の多い数都市で、コロナ禍の中、ゴルフがブームになる一方、人気のあるパブリックコースが閉鎖の危機に直面している。

ゴルフ運営団体が昨年11月に発表したレポートによれば、昨年の最初の10カ月間に4万2000人のゴルファーがクラブ会員権を取得しており、その上、5月~10月の間のラウンド数は22パーセント、急増した。

しかし、コロナ禍にゴルフ人気が高まる一方で、オーストラリアのあちこちの地方自治体により、パブリックコースが占有している広大な土地を緑地化しようとする動きがある。

シドニー中心部から車で15分以内のところに、オーストラリアで最も利用者の多いコースのひとつである「ムーアパーク・ゴルフコース」があるが、ここは、18ホールのうち9ホールを閉鎖し、その空間を広々とした緑地に転換する計画の対象となっている。

また、ブリスベン中心部に位置する「ビクトリアパーク・コース」は、既に今年、営業が中止されることが決定し、ビクトリア州の「ノースコート・ゴルフコース」は、ゴルフ場を排除し、緑地に戻す社会運動の対象になっている。

オーストラリア東岸の州都の人口が増加し続けているため、ゴルフに使用されている施設およびそれらが占有している空間(土地)に対する圧力がますます強くなっているのだ。

クローバー・ムーア・シドニー市長は、ここ数年間、ゴルフコースの多くを緑地転換する提案をしているが、最近、市議会はこの提案に関する公聴手続に対し約500万円を支出することを承認した。

「大都市圏に面している公園に対し、非常に大きな圧力がかかっています」

「(ゴルフ場の)土地を地域社会と共有することが極めて重要なんですよ。毎年、2000万の人々が『センテニアル』と『ムーアパーク』の緑地を訪れている一方、ゴルフ場でプレーされているラウンド数は6万に過ぎないのですから」

市議会はこのゴルフ場やその運営に対する権限は有していないが、この問題に関してニューサウスウェールズ州政府に対し圧力をかけ続けることになるだろう。

ロックダウン中にゴルフ場に乱入

メルボルン市の厳格なロックダウンの間、ゴルフは禁止されたが、地元住民がゴルフ場の境界フェンスを破り、フェアウェイを公園として利用するという問題が起きた。

しかし10月、ゴルフをしてもよいという規則になってからも、地域社会の多くの者がそれに反対し、現在、ゴルフ場を永続的に緑地に転換することを要求している。

そして、このような「ゴルフ場・緑地化キャンペーン」を支援するために作られたフェイスブックのアカウントが2800人のメンバーを集めているという。

「ムーアパーク」と「ノースコート」はとりわけ注目されている実例であるが、脅威にさらされているのは、決してこの2コースだけではない。

オーストラリア中の都市郊外に位置するゴルフ場が同様のトラブルに直面しており、シドニーでは、ノーザンビーチの「ワリンガー・コース」やインナーウエストの「マリックヴィル・ゴルフクラブ」などがある。

人口増大に備えて、パブリックコースの土地が狙われている。

世界的アスリートでも2週間の隔離が必要

©Eiko Oizumi

昨年2月上旬に行なわれた「ISPSハンダVICオープン」は今年は中止に。左から男子の部優勝のミンウー・リー、ISPS総裁のジョン・キー氏(元ニュージーランド首相)、女子の部優勝のパク・ヒヨン。

©Eiko Oizumi

「VICオープン」に続き、「ISPSハンダオーストラリア女子オープン」も中止に。昨年は原英莉花(左)がベテランのクリスティ・カーと2日間ラウンドする場面も見られた。

話題を変え、オーストラリアのプロゴルフについてお話ししよう。オーストラリアでは昨年の11~12月から徐々に、現地の選手たちだけが出場できる小規模な試合を開催し始めている。

ワクチンの見通しが立ったことが明るい希望を与えてはいるが、オーストラリア最大のトーナメント(男子および女子の全豪オープン、VICオープン、並びに男子のオーストラリアPGA選手権)は全て中止となっており、今後の動きもまた依然、不確実だ。

オーストラリアのコロナ感染者数が、落ち着きを見せているのは良いニュースだが、海外との往来には依然、問題が多い。

世界的に活躍するアスリートたちは、今もなお入国後に2週間の自主隔離を受けなければならず、それに要する費用は莫大で、時間もかかる。

そのため、賞金額の大きな大会を主催することが実質不可能となっているのだ。

 

Text/Rod Morri

ロッド・モリー
(オーストラリア)

ゴルフニュースのウェブサイト「オーストラリアゴルフ」のコラムニストで、長年に渡り、豪州ゴルフツアーを取材。

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