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【世界のゴルフ通信】From Europe 科学技術を駆使したトラストゴルフが欧州ゴルフ界に登場

学者がトーナメントを開催!?
科学技術を駆使した「トラストゴルフ」が欧州ゴルフ界に登場

©Trust Golf Women’s Scottish Open

「トラストゴルフ」の創始者、CEOであるプリン・シンハナート博士。彼女は運動能力や性別に関わらず、誰にでもゴルフを楽しんでもらいたいと、最新鋭の技術を用いたレッスン施設などを設立。今年から「スコティッシュ女子オープン」のタイトルスポンサーを務めている。

©Trust Golf Women’s Scottish Open

左から、欧州女子ツアーメンバーのカミール・シェバリエ、P・シンハナート博士、昨年の優勝者ステーシー・ルイス。

AIがインストラクターを務める日が来る?!

アーノルド・シュワルツェネッガーが主演を務める「ターミネーター」は、人類を滅亡させて世界を乗っ取るためのロボットや機械が出現するなど、少なくとも今のところはSFファンタジーにすぎない。  

だが、一人の野心的な技術系起業家が拡大中のビジネス帝国を、スポーツ界で成長させ続ければ、AIがゴルフコーチたちに脅威を与えるかもしれない。

タイのプリン・シンハナート博士はゴルフのことはほとんど知らないと言うが、彼女はコンピューターに長けており、人間の人生に良い影響を与えることができると信じている。
だから、彼女の子どもたちがゴルフを習いたいと言い出した時、習得するのが難しいことを知っている彼女は、テクノロジーを用いてゴルフの学習プロセスを急速に発展させる方法を編み出した。  

「フルスイングゴルフ社」のような革新的企業が提供しているスポーツシミュレーターを利用すれば、通常は5時間以上かかる18ホールのラウンドが、今では1時間未満で楽しめるのだ。

©Trust Golf Women’s Scottish Open

2021年「トラストゴルフ・スコティッシュ女子オープン」優勝者のライアン・オトゥール(米国)とシンハナート博士(右)。

世界最先端の技術を駆使してゴルフ界に革命を!

いくつかの学位と物理学の博士号を持ち、数々の企業を設立、運営しているプリン博士。
彼女は、ゴルフ業界に革命をもたらそうと「トラストゴルフ」をスタートさせた。  

「トラストゴルフ」は2019年以来、バンコクに拠点を置き、その影響力はタイや東南アジア全体に広がっている。
技術や競技、教育を通じて、次世代のゴルファーを育成することを目的としている。
最先端の技術を駆使した屋内ゴルフ施設に加え、3つの施設が「トラストゴルフ」の基盤となっている。  

「トラストゴルフツアー」というタイのゴルフツアーのスポンサーも務め、同額の賞金を男女混合で競い合う、世界で初めてのプロゴルフツアーを創設。
一方で優れたジュニアゴルファーを支援するための「ジュニアプログラム」も構築し、優れたコーチのレッスンを受けられるようにしたり、プロを目指す子供たちにアドバイスしている。  

プリン博士はゴルフを特権階級の人々だけでなく、たくさんの人々にとって身近なものにしたいと考え、タイ全域にある200の公立学校のカリキュラムに「ゴルフ・トゥ・スクール」というゴルフのプログラムを持ち込んだ。

タイの首都には「トラストゴルフ」の3000平方mに及ぶ施設があり、ロボット工学やAI、シミュレーター、ローンチ・モニター、3D生物力学解析ツールまで完備している。
「トラストゴルフ」は世界中にそのようなセンターを20か所展開していきたいと考えている。才能あるゴルファーを生み出す「ベルトコンベア」でありたいと考えているのだ。

「私は2年でツアープロを誕生させたいと思っています。人間の脳と目を使うだけでは全てを同時に観察できないところを、我々の機械やデータを利用してチェックすることができるのです」

同社には9000人のプログラマーがおり、ゴルファーの長所と短所を分析可能。
選手のスキルを向上できるという。

トーナメント開催で世界の「トラストゴルフ」へ

同社は、次なる段階に入り、その存在を欧州に大々的にアピールしつつある。

「トラストゴルフ」は8月の「スコティッシュ女子オープン」のタイトルスポンサーを務め、その名を欧州諸国に知らしめた。
「スコティッシュ女子オープン」は、欧州女子ツアーと米LPGAの共催試合であり、今年はライアン・オトゥールが優勝したが、2位以下には東京オリンピック銅メダリストのリディア・コー、欧州女子ツアー賞金ランク1位のアタヤ・ティティクル、メジャー2勝のアリヤ・ジュタヌガーン、チャーリー・ハル……と続く。世界のトッププロが出場する、
一流の「スコティッシュ女子オープン」とパートナーを組むという「トラストゴルフ」の決断は賢明だったと言えるだろう。
開催地はゴルフの聖地・セントアンドリュースから車でわずかの場所に位置するダンバーニーリンクスだ。
プリン博士は、「本大会を、他のメジャーと同額ないしはそれより高額の賞金を伴ったメジャーのように考えたい」と語った。
そして彼女は、「ありきたりの試合にはしたくない。
すべての女子プロたちから、『スコティッシュ女子オープンで絶対にプレーしたい』と言ってもらえるような試合にしたいですね」と話す。

「全英女子オープン」は若手からベテランまで競合

©R&A

「全英女子オープン」は、アナ・ノルドクイスト(右)が優勝してメジャー3勝目。地元スコットランド出身のルイーズ・ダンカン(左)がトップ10入りを果たし、ローアマに輝いた。

今年の「AIG全英女子オープン」はスウェーデンのアナ・ノルドクイストが優勝。
2009年「全米女子プロ」、2017年「エビアン選手権」以来のメジャー3勝目を飾った。

「私は2017年7月に伝染性単核球症にかかり、夜中はひどい咳で座りながら寝ていたわ。本当につらい日々だった。回復に3年かかったけど、エネルギーを使い果たし、精神的にも燃え尽きたような感じだった。コロナは悪いものだけど、私にとってはいいものでもあったわ。家でゆっくり体調を整えることもできた。こうしてまた優勝できて、夢みたいよ」

Text/Euan McLean

ユアン・マクリーン(スコットランド)

スコットランドを拠点に欧州ツアー、海外メジャーを過去20年以上に渡り取材。

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