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【世界のゴルフ通信】From Latin スペインの次なるスター イ・ハランとは?

世界の各国ゴルフ情報の中から南米の話題をお届け!

400ヤード以上の飛距離の持ち主も存在!

両親が韓国人で、ジョン・ラーム(左)を指導しているコーチ(中央)を持つイ・ハラン(右)。

ジョン・ラームの次なるスターは?

現在、スペインでは男子4人と女子2人のアマチュアが注目されている。今回は彼らについて紹介しておこう。

まず、マドリードゴルフ界の有望な若手スターの一人、アレハンドロ・デル・レイは2018年9月に世界アマチュアゴルフランキング1位に輝いた。
スペイン人としてはジョン・ラームに次ぐ快挙だ。
さらにジャック・ニクラスのようなレジェンドと同じ道を歩み始めており、世界チーム選手権の「アイゼンハワートロフィー」では銅メダルを獲得。
大学でADE(経営学)と社会学を学んだ後、今年6月にプロに転向するや、わずか2カ月でアルプスツアーの「オープン・ド・ラ・ミラベル・ドール2020」で国際大会初優勝を果たしている。 

デル・レイの身長は172cmと高くはないものの、そのパンチ力は圧倒的で、ゴルフの道を歩み始めた当初から、一目置かれていた。

「最長飛距離?測ったことはないですが、400m(437ヤード)以上は飛んでいると思います。」

ルーカス・バカリサスは、1998年生まれでカタルーニャ州バルセロナの出身。
両親がゴルフ場の近くに住んでいたことから、4歳でゴルフを始めたと言う。
12歳の時には、プロゴルファーを目指すようになった。
当時の熱心さと好成績とが評価され、ルーカスは地域連盟から代表に選ばれている。

2015年、18歳未満のスペイン国内ランキングでトップ10入り。
2015年アンダルシアサーキット・ゲッコーツアーの賞金ランク1位に輝いた。

次にホルディ・ガルシア・デル・モラルは、1985年にバレンシア州カステヨンで生まれた選手だ。

幼い頃にゴルフを始め「ゴルフは僕の全て。ゴルフは素晴らしいスポーツであるだけではなく、謙虚さ、勤勉さ、敬意、献身など、大切なことをいろいろ教えてくれました。だから、ゴルフには恩を感じています。プロゴルファーになっていなくても、ゴルフコースの経営とか管理とか、何かゴルフに関係のある仕事に就いていたと思います」と語る。

2014~2015年の間は、プロの試合に出場するかたわら、ゴルフコース経営などを勉強していた。

実はホルディは、2009年に痛めた手首の靭帯の古傷に何年も苦しめられている。

「とにかくヨーロピアンツアーに復帰することが第一の目標です」

ハコボ・パストルはマドリード出身で1988年生まれ。

「昔は、落ち着きのない子でした。家の裏に『ゴルフネット』というゴルフコースがあったのですが、3歳の時に、母が連れていってくれました。子どものくせに、ゴルフなんてまだ早いと言われたものだから、クラスに入れてくれるまで座り込んで泣いたものです」

パストルは両親には内緒で、勉強とゴルフを両立できるアメリカの大学を探し始め、チャールストン・サザン大学に転入。
2014年には運試しのつもりでPGAツアー・ラテンアメリカに参加し、「チリ・オープン」では上位10人に残ることができた。

12歳でプロ入りを目指したというルーカス・バカリサス。10代にしてプロ入りを果たし、数々の試合で優勝している。

ホルディ・ガルシア・デル・モラルはセルヒオ・ガルシアと同じ町の出身で、ゴルフ場経営学なども学んだことがある。

アメリカに渡り、大学ゴルフ部に入部したハコボ・パストール。絶対に諦めない強い精神力が持ち味。

スペインの若手NO.1のアレハンドロ・デル・レイ。最大の武器は400ヤード超のロングドライブ。

女子プレーヤーの逸材発見!

女子ゴルフ界も負けじと、アサハラ・ムニョスらに続くスター選手を輩出している。

ファティーマ・フェルナンデス・カノはガリシア州サンティアゴ・デ・コンポステラ出身で、1995年生まれ。2018年のシメトラツアーでその年の最優秀新人に輝く。
モロンゴ・カジノ・リゾート&スパで開催された2020年の「IOA選手権」で優勝を果たし、さらにシメトラツアーのボルビックレース・フォー・ザ・カードのランキングでトップになった。
2019年の「全米女子オープン」への出場は、生まれ故郷では画期的なニュースだった。

「スペイン北部では、ゴルフはスポーツではないと思っている人がいるんです。私は一日5時間から8時間は練習していますし、ジムにも通っています。でも金持ちの道楽だと思われています。プロゴルファーであることを伝えても、後になって、『それで、仕事は何をしているの?』なんて聞かれるんです」

最後に紹介するのは、スペイン人だが両親は韓国人というイ・ハランだ。

1995年カンタブリア州カストロ・ウルディアレスで生まれているが、ここはイの憧れの偉大なるセベ・バレステロスの出身地でもある。

彼女は5歳の時に、父と一緒にビルバオのコースでゴルフを始めたが、両親は韓国人で、父はテコンドーの師範である。
イのコーチは、ジョン・ラームの恩師でもあるエドワルド・セジェスだ。

LPGA 2018の最優秀新人に選出され、そして今年9月にペドレニャで開催された「サンタンデル・ゴルフツアー選手権」でプロ初勝利を飾った。

アマチュア時代は、欧州女子選手の中でも特に優れた一人で、2013年秋にジョージア大学に入学。
2016年にオールアメリカンのファーストチームに選出されたことももある。

大学卒業後はシメトラツアーに参戦。
2018年にはLPGAツアーに何度か出場したものの、シード権を失ってしまった。
そこで2019年は、シメトラツアーに専念。
今年も引き続きシメトラでプレーすることになっていた。 

 スペインにはこのように、将来有望な顔ぶれがいっぱい。次の世代の選手たちはもう、すぐそこにいるのだ。

今年は新型コロナウイルスに感染し、1年を棒に振ってしまったファティーマ・フェルナンデス。

Text/Isabel Trillo Amores

イサベル・トリロ・アモーレス(スペイン)

PGA・オブ・スペインのコミュニケーションディレクター。80年代後半からゴルフ取材を始め、その数は世界250試合以上。ゴルフのラジオ番組も手がける。

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