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【世界のゴルフ通信】From Latin ゴルフ場がたった2コースしかないケイマン諸島に新星登場!

ラテンゴルフに新星誕生!
ゴルフ場がたった2コースしかないケイマン諸島の「星」

左から、ビセンテ・マルジリオ(アルゼンチン)、サンティアゴ・デ・ラ・フエンテ(メキシコ)、アーロン・ジャービス(ケイマン諸島)、マテオ・フェルナンデス・デ・オリベイラ(アルゼンチン)、フレッド・ビオンディ(ブラジル)

「ラテンアメリカ・アマチュア選手権」に優勝したアーロン・ジャービス。まずは海外男子メジャー第一戦「マスターズ」に登場する。

「マスターズ」行きの切符をつかんだカリブの若者

「ラテンアメリカ・アマチュア選手権(以下LAAC)」から、我々が学んだことがある。
ゴルフには、常に驚きや、勝利に関する信じ難い話がつきものであること。
そしてゴルフ場が2つしかなく、アマチュアゴルファーもわずかしかいない、小さな島々から来た優勝者のための居場所があるということだ。
アーロン・ジャービスは間違いなく、彼の出身国だけでなく、この地域全体の多くの人々に、大きな影響を与えたことは間違いない。
つまり、「マスターズ」やR&A、USGA(全米ゴルフ協会)といった本大会の共同設立者たちが作り出したこの試合が、いったい何なのかを物語っている。

今年1月に開催された「LAAC」 は予想だにしない優勝者が誕生した。
アーロン・ジャービスは、ゴルフよりも『パイレーツ・オブ・カリビアン』を彷彿とさせるカリブ海のイギリス領ケイマン諸島出身だ。
2つのゴルフ場しかなく、5万8000人の住民のうち、ゴルフをしているのはたったの650人しかいない。

ゴルフのために単身渡米
母国のゴルフの発展を願うジャービス

ジャービス(19歳)が、過去7回開催された「LAAC」に出場したのはこれで2回目。
2019年に出場した時は、予選通過したものの、50位以内に入ることはなかった。

「とても忍耐強いプレーができた。今回の優勝が母国のゴルフの成長の一助となればいいのですが……」

ドミニカ共和国「カサ・デ・カンポ」のティース・オブ・ザ・ドッグというカリブ海、いや世界で最高のコースの一つに挑んだ新チャンピオンが、優勝直後にこう語った。

ブラジルのフレッド・ビオンディに2打差をつけられていたジャービスだが、ビオンディが終盤の数ホールでスコアを落としたのに対し、69をマーク。
最終ホールでは力強く、大胆に攻めて優勝。「マスターズ」とセント・アンドリュースで開催される第150回「全英オープン」への出場権を獲得した。

「前回よりもきちんと事前に準備ができていました。今までより多くのことを経験してきたことで、前回とは違う試合運びができましたね」  

彼はウィンダーミア予備校で素晴らしい成績を収めた後、ネバダ大学ラスベガス校に入学を決めた。
2019年に「LAAC」 デビューした後、フロリダ州オーランドにある「レッドベター・ジュニアゴルフアカデミー」に通うために渡米を決断。
彼の人生の中で極めて重要な瞬間であった。

アーロン・ジャービスは、「マスターズ」と「全英オープン」への出場権を獲得したほか、「全英アマ」「全米アマ」、その他あらゆるUSGA主催のアマチュア大会への出場権も獲得。
マサチューセッツ州ブルックラインのザ・カントリークラブで開催される「全米オープン」の最終予選会への出場資格も得た。

なお、2位以下のマテオ・フェルナンデス・デ・オリベイラ、ビセンテ・マルジリオ、サンティアゴ・デ・ラ・フエンテ、そしてフレッド・ビオンディには、「全英オープン」と「全米オープン」の最終予選会への出場権が与えられた。

LAACの会場となった、ドミニカ共和国の名コース「ティース・オブ・ザ・ドッグ」は、ピート・ダイの傑作。

オリンピックのトーチリレーと同様、優勝トロフィーがスペイン全土を移動し、ゴルフの普及活動に

次回の「ソルハイムカップ」欧州チームのキャプテンに選ばれたスザン・ペテルセン。

ソルハイムカップのトロフィーがスペインを行脚

スペインのコスタデルソルにあるフィンカ・コルテシンコースは、2021年11月に「ソルハイムカップ」のトロフィー授与式を行なった。
この式には、欧州チームキャプテンであるノルウェーのスザン・ペテルセンのほか、スペイン・ナヴァーラ出身の女子プロ、カロルタ・シガンダも立ち会った。
彼女は「ソルハイムカップ」でも大活躍している、スペインのNo・1女子プロだ。
2か月後、このトロフィーはマドリードに到着し、スペインを行脚。ゴルフ場やタウンホール、サッカースタジアム、歴史的記念物等を訪れることになっており、人目につく場所に展示されることになっている。
こうした活動は、女子ゴルフを宣伝するいい機会となり、ゴルフに触れたこともない人々の興味を引き、特に女性や若者のゴルフをしたい、というモチベーションを高めることにもつながるだろう。

なお、「ソルハイムカップ・アンバサダー」もいて、彼女らの活動はとても重要だ。
トロフィーが各場所に置かれている間、アンバサダーはゴルフの発展のため、さまざまなプロモーション活動を企画し、実行する。
最終的に、トロフィーは2023年9月に「ソルハイムカップ」開催コースのフィンカ・コルテシンに戻ってくることになっている。

Text/Isabel Trillo Amores

イサベル・トリロ・アモーレス(スペイン)

PGA・オブ・スペインのコミュニケーションディレクター。80年代後半からゴルフ取材を始め、その数は世界250試合以上。ゴルフのラジオ番組も手がける。

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