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【世界のゴルフ通信】From Middle East 欧米で活躍するスター達が中東シリーズを制覇

欧米で活躍するスターたちが中東シリーズを制覇!
コロナ禍でもオイルマネーで安泰!

「サウジ・インターナショナル」最終日、ダスティン・ジョンソンは68をマークし優勝。2打差の2位はトニー・フィナウ、ジャスティン・ローズ。

世界のトッププロたちに魅力の中東シリーズ 

欧州ツアーの「デザートスイング(中東シリーズ)」は世界の競技日程の中で最も待ち望まれている一連のトーナメントのひとつになっている。
高額賞金と最高の気候、最高のコースコンディション、多額なアピアランスマネー、そして海外から中東への移動のしやすさから、世界のビッグネームたちがこの中東シリーズにやってくるのだ。

欧州ツアーの2021年競技日程は例年通り、今では賞金総額約8・5億円のロレックスシリーズの試合の一つとなっている「アブダビHSBC選手権」(1月21~24日)に始まり、賞金総額約3億4300万円の「オメガ・ドバイデザートクラシック」(1月28日〜31日)、約3億7000万円の「サウジ・インターナショナル」(2月4~7日)と続いた。

また、各大会の出場選手層も厚く、「サウジ・インターナショナル」では世界ランク1位のダスティン・ジョンソンの他、世界ランク10位以内の選手が3人ほど出場していた。
公式世界ランキングのデータによれば、2019年の「BMW・ PGA選手権」以来、欧州ツアー単独開催の大会で最高のフィールドだったのだ。

世界ランク1位のダスティン・ジョンソンは、サウジ・インターナショナルに3戦2勝(2019年・2021年)。昨年は2位と好相性の大会だ。

D・ジョンソンがサウジで独り勝ち

ダスティン・ジョンソンは、2019年に始まったこのサウジの試合の初戦の勝者であり、昨年は2位。
そして今年は、最終日にエンジンがなかなかかからなかったにも関わらず、2打差の勝利を収めて開催コースのロイヤルグリーンとの相性のよさを見せつけたのだ。

彼はバーディ狙いのショートパットを何回かミスするなど、グリーン上では苦戦を強いられたものの、アメリカ人のトニー・フィナウ、そしてフランス人のビクトル・ペレスといった追手たちが終盤に致命的なミスを犯し、ジョンソンにプレッシャーを与えるには至らなかった(通算15アンダーで優勝)。

「マスターズ」チャンピオンのジョンソンが日曜日にマークした68は、サウジアラビアの試合でマークした自身のスコアの中でもワースト記録だが、彼は12ラウンドをプレーし、通算44アンダーを記録した。

「自分のツアーではない試合で勝つのはもちろんいいことだよ。調子は今もすごくいいのはわかったし、今年の残りのシーズンも本当に楽しみだ」と、過去9試合で3勝を挙げた彼は語った。

 

コロナ禍で自分の幸せを噛みしめたポール・ケーシー

「オメガ・ドバイデザートクラシック」で優勝したポール・ケーシー。イギリス人だが、現在の主戦場はPGAツアーのため、アリゾナに在住。

 

サウジアラビアでジョンソンが優勝した1週間前、別のPGAツアープレーヤーが中東まで遠征。はるばる16時間の大西洋横断飛行の末、コンディションを整えてやってきた。

火曜日の夜遅くにドバイに到着し、翌日早朝のプロアマ戦のためにエミレーツ・ゴルフクラブに到着したイギリス人のポール・ケーシーは、時差ボケを見せることなく、本戦では南アフリカのブランドン・ストーンに4打差をつけ圧勝した。

ケーシーの第3ラウンドは、ボギーなしで、8アンダーだったが、それがトーナメントのハイライトとなった。その日の最終ホールで、6番アイアンでピンそば約5メートルの位置につけ、イーグルパットを決め、首位に立ったのである。

「私にはすばらしい妻、そして2人のすばらしい子どもたちがいる。実際、この10か月ほどの期間で、自分がどれほど幸せなのかを認識できたよ」とアリゾナ州スコッツデールに住む彼は語った。

「また一方では、ゴルフも楽しんでいる。満足しているとは言いたくないが、自分の今のポジションについてはよしとしていますよ。今後、自分のゴルフ人生で何が起ころうと、心穏やかに過ごせるだろうね」

また、若き日本人スターの金谷拓実は、強豪たちが揃う欧州ツアーの試合でデビューを果たしたが、週末に2人のスーパースターとのラウンドが実現。
「マスターズ」チャンピオンのセルヒオ・ガルシアと第3ラウンドで、そして最終日には世界ランク5位のティレル・ハットンと同組で回った。金谷は通算8アンダーの9位タイで試合を終えている。

 

©Getty Images

プロ入り後初めて欧州ツアーの中東シリーズに2試合参戦した金谷拓実。「ドバイデザートクラシック」では9位に入る活躍も見せた。

 

ハットンがアブダビでマキロイを撃破

「アブダビHSBC選手権」で優勝したティレル・ハットン。現在、欧州ツアーのレース・トゥ・ドバイランキングで1位。

 

「アブダビHSBC選手権」は、2019年11月の「DPワールド・ツアー選手権」以来となる、欧州ツアーへのローリー・マキロイの参戦で大いに盛り上がった。
そして、世界ランク3位のジャスティン・トーマスもまた米国からの長旅を経て参戦。試合はマキロイ、ティレル・ハットンが熱戦を繰り広げた。

マキロイはアブダビGCで行なわれた9試合で、2位が4回、3位が3回という順位に終わっているが、今年の「アブダビHSBC選手権」では1打差の13アンダーで首位に立ち、最終ラウンドを迎えたにも関わらず、本大会の初タイトルはお預けとなった。

最終日、ハットンは6アンダー(66)というすばらしいスコアを記録し、ジェイソン・スクリブナーに4打差で勝利したのだった。

なお、欧州ツアーの競技日程にあった「オマーン・オープン」は、コロナ禍の影響で中止となり、3月11日から開催された「コマーシャルバンク・カタールマスターズ」が中東シリーズ最後の試合となった。

Text/Joy Chakravarty

ジョイ・チャクラバルティ
(アラブ首長国連邦)

ドバイを拠点に25年以上に渡り世界中でゴルフ取材を続けている。

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