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【世界のゴルフ通信】From Japan 女子ツアー開幕も東京五輪は無事開催できるのか?

コロナ禍を追い風に!
無事開催できるか?東京五輪

©Getty Images

東京オリンピック・パラリンピック組織委員会の森喜朗会長(83・写真右)は女性蔑視発言が国内メディアで報じられたことを受け、辞任した。

 

ゴルフ離れが近年の課題
それを解消したのが「コロナ」

コロナ禍をどれだけプラスに利用できるか。これは日本だけでなく、世界中のゴルフ界に与えられた課題である。

ゴルフ場やゴルフ関連団体、ゴルフ産業などにとって、ゴルファー減少は近年の大きな悩みだった。
これをいかに食い止め、新規参入者を増やせるかが課題だったのだ。
そもそも、ゴルフを五輪正式競技にする目的はゴルフ離れを食い止め、盛り上げることにあった。
ゴルフを五輪競技に、という動きが認められ、2016年「リオ・デ・ジャネイロ大会」で112年ぶりに五輪競技として復活。
1年延期された「東京大会」、2024年の「パリ大会」、2028年の「ロサンゼルス大会」まではゴルフ競技が行なわれることが決まっている。

そんな中、2020年に世界を襲ったのが「新型コロナウイルス」。
各国でロックダウンが行なわれ、あるいは緊急事態宣言が出されて、当初、ゴルフ界は大打撃を受けた。
だが、人々がウイルスと上手に付き合おうとするにつれ、大自然の中で、密にならないゴルフは歓迎され始める。
日本だけでなく、世界中でコロナ禍での参入ゴルファー(新規・再開)が増加したという事実は、様々な調査で裏付けられている。
特に若年層にその傾向があることは、実際にゴルフ場や練習場に行くと肌で感じることができる。

そう、コロナ禍はゴルフ業界にとって「追い風」に変わったのだ。これを一過性のものにせず、長期的なものにすることが重要。あちこちでその対策が考えられている。

離脱の原因を一つずつ取り除き、同時に参入へのハードルを下げていく。
どちらも、様々な状況でゴルフができる環境を整えることが大切だ。
例えば、いリーズナブルな価格で用具を販売したり、レンタルでプレーが体験できるようにすること。
先輩ゴルファーたちがまちがったことを教えたりせず、優しく〝受け入れる態勢を整える〟ことだ。初心者に対して、ゴルフから締め出すような発言や態度はNG。パワハラ、セクハラは論外だ。

また、一部のゴルフ場で行なわれている「短いコースセッティング用のティー設置」を行なったり、「9ホールプレーを可能にする」ことなども必要だ。
ドレスコードを撤廃し、ゴルフ場へのアクセスをよりイージーにするなど、まだまだ山積している課題としっかりと向き合う必要があるだろう。

コロナに便乗する、というと言葉は悪いが、ピンチをチャンスに変えられれば、衰退しつつあった日本のゴルフも、息を吹き返すかもしれない。

 
©Getty Images

東京オリンピックゴルフの開催地・霞ヶ関カンツリー倶楽部。過去、松山英樹がこの地で開催された「アジアアマ選手権」に優勝し、ドナルド・トランプ前大統領がプレーに訪れたこともある名門コースだ。

 

国内トーナメントは予定通り実施!?
観客は……?

 

©Getty Images

1日1000人の観客を入れて行なわれた今年の国内女子第1戦「ダイキンオーキッドレディス」は小祝さくらが優勝。2020〜2021年の賞金ランクは3位に浮上した。

 

プロのトーナメントに目を転じてみよう。

よほど状況が悪化しない限り、男・女・シニアともに試合そのものはすべて予定通り開催されそうだ。
今年の問題は、有観客で開催するかどうか。日本のトーナメントは、一部を除き大半の主催者はスポンサー企業。
そのため、開催そのものもだが、観客を入れるかどうかなどについて、ツアーが判断できない仕組みになっている。

地域的な事情などを考慮するのは当然だが、それ以外の部分でも、1試合1試合、対応がまちまちになるのはそのせいだ。
感染状況に左右されるのは仕方ないにしても、観客がいるかいないかで試合の行方が変わることも少なくない。

今年、ファンがナマで見ることができるのはいったい何試合になるのか。試合結果だけでなく、ツアーそのものの将来についても大きな影響を与える可能性があるだけに、できるだけ多くの試合が観客と共にできることを願ってやまない。  

また、1年延期されて7~8月に開催予定の「東京五輪」がどうなるかも気になるところだ。

本稿執筆時には、東京オリンピック・パラリンピック組織委員会森前会長の辞任騒動をよそに開催の方向で動いてはいた。
舞台となるはずの霞ヶ関カンツリー倶楽部(埼玉県)も着々と準備を整えている。
ワクチン接種も世界的に広がってきてはいるが、強行開催のリスクはまだまだ高いのが現実だ。

強い自粛ムードが吹き荒れ、心身ともに狭いところに閉じ込められる人々が増えている今こそ、広々とした場所で深呼吸できるゴルフが魅力的に映る。

自らプレーすることでも、プロのプレーを観ることでも、あるいはゴルフ場を訪れるだけでもゴルフの魅力を十分感じられるはずだ。

Text/Junko Ogawa

小川 淳子

東京スポーツのゴルフ担当記者として日米欧のトーナメントを取材。

現在はフリーでゴルフ雑誌などで執筆。

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