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【世界のゴルフ通信】From USA 花の24歳組の台頭で米ツアーは戦国時代へ

若手の台頭が目覚ましいPGAツアー!花の24歳組が火花を散らす戦国時代へ

©Getty Images

「マスターズ」では2位に入り、世界的にその名を轟かせたウィル・ザラトリス。2018年にプロ転向し、昨年の「全米オープン」でも6位タイに入賞していた。

マスターズで突然現れたザラトリスとは?

彼は突然現れたかのように思われるかもしれないが、実はそうではない。
ウィル・ザラトリスは前からツアーにいたのだが、「マスターズ」で注目を浴びるようになるまでに、無名な人生を歩んできただけなのだ。

24歳の彼は、「マスターズ」で優勝こそしなかったが、優勝者の松山英樹とは1打差で試合を終えた。

「僕はそんなに驚いていませんよ。皆さんのうちの何人かは驚いているでしょうけど」と、ジュニア時代からザラトリスとともにプレーしてきた有望な若手のスコッティ・シェフラーは言う。

「ずっと以前からお話ししてきましたが、僕たちは8歳の頃から互いに競い合ってプレーしてきたんです。彼は僕がこれまでに見てきた選手の中でも最高のショットメーカーの一人であり、パットが好調なら試合の上位にいつも名前を連ねていますよ」

ザラトリスは、来年の「マスターズ」への出場権も確保し、世界ランキングも27位にまで浮上。
4大メジャーや世界ゴルフ選手権に余裕を持って出場できる順位となっている。

今、ツアーで最もHOTな「24歳組」

©︎PGA TOUR

ツアー2年目の昨年に「全米プロ」優勝を飾り、今年は「WGC・ワークデイ選手権」で優勝したコリン・モリカワ。

©︎PGA TOUR

2020年「全米オープン」では2位に入ったマシュー・ウルフ。平均飛距離は314.2ヤードでツアー6位。2019年「3Mオープン」でツアー1勝。

©︎PGA TOUR

「WGCワークデイ選手権」では5位に入ったスコッティ・シェフラー。未勝利だが、フェデックスカップで29位につけ、好調だ。

現在、若手で活躍しているのは、ザラトリス一人ではない。
同い年の選手の中でもトップに君臨しているのは、昨年8月の「全米プロ」、そして今年開催された「WGC・ワークデイ選手権」とビッグトーナメントで優勝している24歳のコリン・モリカワである。
彼は既にPGAツアーで4勝を挙げているメジャーチャンピオンだ。

また、24歳のシェフラーはまだPGAツアーでの勝利はないが、彼は2019~20年のPGAツアー新人王を獲得し、たびたび上位にその名を連ねている。

3歳年下のマシュー・ウルフもその名をすでに轟かせており、「全米プロ」では4位タイ、「全米オープン」では優勝者のブライソン・デシャンボーに次ぐ2位に入った。
ジャスティン・トーマスやジョーダン・スピース、ブライソン・デシャンボーなども20代でまだまだ若い部類に入るが、すでにメジャー優勝している彼らを除いても、若手で活躍している選手たちは何人もいる。
ノルウェー人で、米ツアーを主戦場にしているビクトル・ホブランも、すでにツアー2勝を挙げているのだ。

ザラトリスのゴルフの才能と人とは違う感性

ザラトリスはPGAツアーのフルシード選手ではないが、下部ツアーの「コーンフェリー・ツアー」において11試合連続トップ20で競技を終了したことから、昨年9月の「全米オープン」出場権を獲得し、6位タイに入賞した。

「マスターズで優勝争いするのが僕の20年間の夢でした。今週は本当によくやったと思いますし、楽しみましたが、まだ物足りなさを感じています。1打差で敗れたことはガッカリですが、それがモチベーションとなっていますよ」

2年前、ザラトリスの世界ランクは1514位で、昨年9月に今季のPGAツアーが始まった時、彼には何の資格もなかった。
彼は試合に出場できたとしても、ほとんどがスポンサー推薦。
そして「マスターズ」に出場した時点で、今シーズンの準シード選手となる資格を得ていたが、「マスターズ」での好成績により無制限の招待を受けられるようになった。

ウェブ・シンプソンは、「彼は驚異的なプレーをしている。6か月間、ザラトリスのように本当に素晴らしいプレーをすれば、出場資格をもともと持っていなくても、上位で戦えるということを、出場資格を持たない多くの選手たちに証明してくれた。」と語る。

さらに「私はザラトリスと昨年、一緒に何度かプレーした」とスピースは語る。

「彼の自信の度合いがこの1年半で大きくなっているのは当然だと思う」

また、ザラトリスの長所は、華奢な体つきにもかかわらず、飛距離が出るという点だ。
そして彼のアイアンの精度は高く、56回中53回がパーオン。
これはその週、スピースに次いで2位の成績だ。

そしておそらく、最も素晴らしいのは、彼には独自の視点があるということだろう。

「毎日、12番の橋を渡るたびに後ろを振り返り、僕を撮影しているカメラを見るのは最高でしたね。
〝振り返ってその眺めを楽しみなさい。
そんな景色はなかなか見られるものではないから〟と日々が教えてくれるんです。
それをマスターズで行なっているという事実―そこにいることがどれだけ素晴らしいことなのかが、これでわかるんです」

Text/Bob Harig
ボブ・ハリグ(アメリカ)

ESPN.comシニアゴルフライター。25年以上に渡り、ゴルフトーナメントの取材を続けている。全米ゴルフ記者協会会員。

Photo/Getty Images、PGA TOUR

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