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【世界のゴルフ通信】From USA タイガー出現以来のゴルフバブル景気

コロナがもたらした、ゴルフ業界を明るく照らす一筋の光

©Getty Images

コロナ禍では新規でゴルフを始めた人、久しぶりにゴルフを再開した人が増え、練習場も盛況。なお現在は、1打席おきでソーシャルディスタンスを取って営業しているところも多い。

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ニューヨーク・マンハッタンでキャディバッグを担いでゴルフ場に向かうゴルファー。

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ゴルフ未経験者でも、パターゴルフならTシャツ姿で気楽に楽しめる。

 

コロナが生んだアマチュアのゴルフの活性化

世界を混乱させ続けている世界規模のパンデミックはスポーツ界にとても大きな影響を及ぼした。
昨年、PGAツアーは3か月近く中断され、その他のツアーは可能な限り安全な状態で行なうために無観客で開催されることも多かった。。

だが、アマチュアの〝娯楽レベルでのゴルフ〟については、コロナのお陰でむしろ活性化されたと言っていい。

実際、カリフォルニアのようにゴルフが禁止されたこともあったが、その禁止期間は短く、ゴルフは他のスポーツに比べて、人との接触が少ないスポーツということで、今までゴルフの経験がなかった人や、しばらくやっていなかった人も、ゴルフを始めるケースが多かったのである。

ゴルフ用品の売り上げは史上最高水準に

アメリカでは2020年の全ラウンド数やゴルフ用品の販売数が記録的に伸びたという。

このような動向を月間、四半期、年間ベースで測定している企業の調べによれば、ラウンド数は2019年と比較すると13・9%増加し、ゴルフ用品の売上も10・1%ハネ上がった。
ラウンド数の増加は通年で最大となり、一方でゴルフショップと専門店でのゴルフ用品の売上は28億1000万ドルを超えた。しかしながら、アパレルの売上は14・2%落ち込んでいる。

「ゴルフは、コロナパンデミック中に理想的なソーシャルディスタンスを保てるスポーツとして見なされた結果だ」と、ゴルフ・データテック社はレポートの中で述べており、ラウンド数の増加については、通年で最大の増加幅であったと言及している。

コロナ禍の生活でさまざまな困難があるにも関わらず、もともと熱心なゴルファーや初心者、久しぶりにゴルフを再開した人たちがゴルフ場に行くようになり、 同年下半期の需要も急増したのである。

「2018〜2019年の2年間はゴルフ用品の売り上げが低かったが、2020年は2ケタに増加。それは、コロナのお陰でゴルフをする時間が増えたからだろう」

一方、アパレルの売上は大きく落ち込んだ。その理由をゴルフ・データテック社は、ゴルフウエアは通常、ゴルフ場のショップで販売されることが多いが、そうしたショップの多くが閉店しているか、または数か月に渡ってフル稼働していなかったからだと考えている。
ロックダウンや旅行制限があったこと、ゴルフシーズンが到来する春先にパンデミックの最も重大な局面で訪れたことも減少の一因となった。

だが、アパレルの通販での売り上げは増加しており、「昨春のゴルフ経済の状況を考えれば、プラスになっていればどんなことでも大成功と考えるべきであり、2021年初頭においてもまだ伸びる余地があるかもしれない」としている。

ゴルフ界の今後の課題と展望

タイガー・ウッズが1997年にマスターズで優勝した後、ゴルフ業界は大きな盛り上がりを見せたが、最近の売り上げが、それ以来最大となっているものもある。

だが今、最も大事なことは、新規ゴルファーたちを今後もキープできるのかということ。多くの人々が自宅勤務を継続していけば、ゴルフにより多くの時間をかけられる。
コロナによるパンデミックは、世界中で困難な状況を長らく生み出しているが、ゴルフはその長く暗いトンネルに一筋の光を見い出すことができたようだ。

LPGAツアーコミッショナーのマイク・ワン氏辞任

©Getty Images

10年以上に渡り、LPGAツアーのコミッショナーを務めてきたマイク・ワン氏。辞任の時期、後任については未定。

10年以上前、LPGAツアーの歴史的な激動の時代に同ツアーを引き継いだマイク・ワン氏が2021年にコミッショナーを辞任することが発表された。

それを受けてLPGAツアーは現在、彼の後継者を探している最中だ。

「後継者となる人にとって本協会は現在、とても魅力的な良い状況にあり、LPGAの選手たちのための機会拡大において組織をさらなる高いレベルへと推し進めていく準備が整っています」と、理事長のダイアン・グリヤス氏は語る。

年間わずか24試合だったLPGAツアーを、今年時点で34試合までに増やしたワン氏。
賞金総額では約42億円から約79億円にまで引き上げた。
その手腕が大いに買われ、LPGAツアーコミッショナーを辞任したあとは、全米ゴルフ協会のCEOに就任することが決まっている。

 

Text/Bob Harig
ボブ・ハリグ(アメリカ)

ESPN.comシニアゴルフライター。25年以上に渡り、ゴルフトーナメントの取材を続けている。全米ゴルフ記者協会会員。

2021MASTERS

5ヶ月後に再びマスターズ
限定数の観客を入れて実施し人数などは非公表

©Getty Images

昨年11月に開催された時のマスターズ最終日・最終ホールの風景。後ろに写っているのは関係者や選手の家族、オーガスタナショナルのメンバーたち。

©Getty Images

昨年は一般の観客を一切入れずに開催され、寂しげなオーガスタだったが、今年は人数を絞って観客を入れる。

 

無観客から有観客へ少しずつ前進するオーガスタ

昨年11月に開催された「マスターズ」は無観客で実施されたが、今年4月の「マスターズ」では人数を絞って観客を入れることが発表された。
また、昨年は中止となった「オーガスタ女子アマ」と「ドライブ・チップ&パット ナショナル(ジュニアの大会)」も今年は決行。これもまた、限られた人数の観客を入れての実施となる。

オーガスタナショナルのフレッド・リドリー会長は次のように語っている。

「11月のマスターズと同様、(4月も)入場者の健康と安全を守るための政策と方法を実践する。
みんなが無事であることが最も大事なこと。
今年、パトロン(マスターズでは観客をこう呼ぶ)全員を入れることができないのは残念だが、オーガスタナショナルからチケットを購入している人は、状況がよくなれば2022年のマスターズで観戦できるよう善処し続けるつもりだ」

今年入場できる観客の人数や、どういう人が選ばれるのかについてなど、詳細については明らかにされていない。
ただ、チケットの流通方法は実際いろいろなパターンがあり、オーガスタナショナルから購入した人に限っての対処法を説明しているだけに、中にはチケットが無効になってしまう場合もあるかもしれない。

チケット保持者は各自、確認した方がいいだろう。

 

注目選手と今年の展望

ローリー・マキロイ

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今大会で優勝すれば、「キャリアグランドスラム」を達成。

過去、優勝を目前にして大崩落した苦い思い出がある。

 

ダスティン・ジョンソン

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世界ランク1位で、昨年の「マスターズ」チャンピオン。

引き続き好調を持続していれば、2連覇のチャンスもある。

 

松山英樹

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ストロークゲインドパッティングで168位とパッティングで苦戦しながらも、ショット力でカバーし、現在フェデックスカップランキングで26位。

2011年「マスターズ」ではローアマを獲得。

 

コリン・モリカワ

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昨年の「全米プロ」でメジャー初優勝を果たし、予選落ち回数が非常に少ない選手として知られる(2019年にプロ転向以来、予選落ちは現在までのところ4回だけ)。

 

ベルンハルト・ランガー

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昨年の「マスターズ」で最年長予選通過を果たした「マスターズ」チャンピオンであり、シニア界最強のレジェンド。

 

本来のオーガスタを知るベテランが有利!?

11月開催からたった5か月しか経っていないが、早くも2021年の海外男子メジャーが「マスターズ」で開幕する。
昨年優勝した世界ランク1位のダスティン・ジョンソンや、キャリアグランドスラムがかかるローリー・マキロイらは注目選手の筆頭格だが、悲願のメジャー優勝に期待がかかる松山英樹は苦戦中のパッティングの調整次第では大いにチャンスがあるだろう。

昨年の11月開催時には、キャメロン・スミス、イム・ソンジェら、あまりオーガスタでのプレー経験のない若手の活躍が目立ったが、本来の春開催では、前回と状況は大きく異なる。

前回は、グリーンのスピードや攻め方、グリーン周りの芝種などが通常の春開催時と異なったため、オーガスタで経験を積んでいるベテラン組が苦戦した。

だが、今回は「知識と経験がものをいうオーガスタ」に戻るため、経験豊富なベテラン勢に大きなチャンスが訪れるはずだ。

とはいえ、怖いものなしの絶好調な若手にも十分チャンスはある。誰が優勝争いに食い込んでくるのか、非常に楽しみだ。

 

2021年マスターズ主な出場者

(1月25日現在)

エイブラハム・アンサー(メキシコ)
ダニエル・バーガー(米国)
アンヘル・カブレラ(アルゼンチン)
パトリック・キャントレー(米国)
ポール・ケイシー(イングランド)
キャメロン・チャンプ(米国)
スチュワート・シンク(米国)
フレッド・カプルス(米国)
ジェイソン・デイ(豪州)
ブライソン・デシャンボー(米国)
ハリス・イングリッシュ(米国)
トニー・フィナウ(米国)
マシュー・フィッツパトリック(イングランド)
トミー・フリートウッド(イングランド)
セルヒオ・ガルシア(スペイン)
ビクトル・ホブラン(ノルウェー)
イム・ソンジェ(韓国)
トレバー・イメルマン(南ア)
ダスティン・ジョンソン(米国)
ザック・ジョンソン(米国)
キム・シウー(韓国)
ブルックス・ケプカ(米国)
マット・クーチャー(米国)
ベルンハルト・ランガー(ドイツ)
マーク・リーシュマン(豪州)
シェーン・ローリー(アイルランド)
松山英樹(日本)
ローリー・マキロイ(北アイルランド)
フィル・ミケルソン(米国)
フランチェスコ・モリナリ(イタリア)
コリン・モリカワ(米国)
ケビン・ナ(米国)
ホアキン・ニーマン(チリ)
ホセ・マリア・オラサバル(スペイン)
ルイ・ウーストハイゼン(南ア)
ジョン・ラーム(スペイン)
パトリック・リード(米国)
ジャスティン・ローズ(イングランド)
ザンダー・シャウフェレ(米国)
アダム・スコット(豪州)
ビジェイ・シン(フィジー)
ジョーダン・スピース(米国)
ジャスティン・トーマス(米国)
ババ・ワトソン(米国)
リー・ウエストウッド(イングランド)
マシュー・ウルフ(米国)
ゲーリー・ウッドランド(米国)

 

チケットはどうなる!?

©Getty Images

すでにチケットを入手しているが観戦者リストから漏れてしまった人へ……

①オーガスタナショナルGC(以下ANGC)から直接購入している人は、購入時に使用したクレジットカードに全額返金を受けられる。
また、2022年のチケットを購入する機会も与えられるので、6月1~21日の期間中に購入のこと。

②返金を受けずに、そのまま2022年のチケット代に回すことはできない。
いったん返金手続きを取り、2022年のチケットは別途購入する。

③ANGCから正規のルートで購入したチケットでない場合は、返金や2022年のチケット購入に関してのリクエストに関してANGCは応じられない。

*詳しくは、https://www.masters.com/en_US/patron/index.html?tab=ticketing をご覧ください。

 

Text/Eiko Oizumi
Photo/Getty Images, Eiko Oizumi

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