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【頑張れ!日本のゴルフ界 VOL.3】コロナに課された新たな課題と日本ツアーの今後の行方

コロナウイルスの影響で、厳しい状況を強いられているゴルフ界。ゴルフ・グローバルは日本のツアーを応援します!

©︎Koichi Miyazaki

JGTO 臨時理事会に出席する青木功会長(左から2番目)。

©︎Koichi Miyazaki

JGTO 青木功会長(左)と新選手会長の時松隆光(右)。

JGTOツアーと選手会が一致団結して男子ツアーを活性化させたい

新型コロナウイルス騒動でスポーツ界は深刻なダメージを受けているが、それはゴルフ界も同様。

その最中の3月下旬、日本ゴルフツアー機構(JGTO)は青木功会長の3期目続投が決定し、選手会長の時松隆光とともに「しっかりと手を組み、一致団結して頑張る」と決意を新たにした。

JGTOの社員総会、および理事会では、20〜22年体制における男子ツアーを活性化させるための目標を再確認。

JGTOの経済的自立や収益強化に向けた対策、トーナメント運営のさらなる効率化と透明性の確保、選手会とのコミュニケーションの大幅改善や広報体制の強化などの方向性が話し合われたという。

コロナウイルスの影響で試合の中止が相次ぐ中での船出となったが、新体制でのゴルフの活性化に対する新たな取り組みに期待したいところだ。

さて、欧米ツアーでは3月下旬からコロナ対策をあれこれと取り組み始め、すでに実行に移している。

例えば、試合の中止や延期が相次ぐツアーの状況を受けて、PGAツアーコミッショナーのジェイ・モナハン氏はいち早く選手とキャディへの金銭の援助を公表した。

3月8日時点のフェデックスカップランキング150位以内の選手に関しては、最大10万ドル(約1080万円)を希望者に前払いで支給。

そしてシーズン終了後のフェデックスカップのボーナスから、受け取った金額を差し引くというものだ。

また151位以下の選手に関しては、支給方法に4パターンを設けている。

①今後出場する予定のマンデープロアマの謝礼の前払い、②今後の賞金の一部を前払い、③引退後の退職金の前払い、④PGAツアーのチャリティ慈善基金からの前払い、だ。

ツアー職員の給与は据え置き
コミッショナーは無給

また、選手だけでなくキャディに対しても、PGAツアーが推奨している「バルスパー・ハット・プログラム」を通じて25万ドル(約2700万円)を分配すると発表した。

そしてキャディ慈善基金への金銭援助も可能であることを伝えている。

モナハン氏は選手やキャディだけでなく、PGAツアーで働く職員、途中で中止となったプレーヤーズ選手権が開催されたフロリダ州についても配慮を怠らない。

PGAツアーの多くの職員の給与を昨年と同じレベルに保つため、自身の給与を辞退(彼がコミッショナーに就任当初の報酬は約4億3000万円とも言われている)。

また、20万人のギャラリーを迎えるため、22トン(約7000万円相当)の食料を準備していたが、無駄にしないよう食料を必要としている人々に大会役員とともにモナハン氏自らも配給した。

また、国家レベルの話では、トランプ大統領とも直接電話で、今後の対策、ツアーの再開などについて語り合っている。

日米を取り巻く環境の差や、組織の違いはあるものの、日本ツアーにとっても参考にできるヒントはある。

日米の違いを簡単に説明すると、日本ツアーの主導はトーナメントのスポンサーやテレビ局。興行としてチケットで賄うというシステムではない。

さらに大きな財源として選手からのトップオフ(賞金の3%)が頼りだ。

 一方、PGAツアーは選手と運営は完全に分離しており、すべての運営はツアーが取り仕切り、選手たちは高いパフォーマンスをゴルフファンに見せることに徹することができる。

代表であるコミッショナーは全権限を掌握し、責任の所在は明確だ。運営はテレビなどの放映権料が主体で、2022年以降、米国内の2大ネットワークのNBCとCBSから770億円、世界140か国へのウェブなどの放映権料を2200億円(12年間)で売り渡す契約を締結している。

この膨大な財源のほかに、スポンサー収入、グッズやPGAツアーロゴのロイヤルティ、ツアーが運営するゴルフ場(TPCソーグラスなど約40コース)からの収益がある。

そしてこれらの莫大な資金をファンド運用でさらに増大させているのだ。

幹部職員は弁護士や元政治家、ビジネスマンなどその道のプロフェッショナル。

また米国全土を回るツアーからの収益の大半を地元へチャリティとして還元。

教育、医療、福祉、高齢者などへの支援があるから、地元は協力し、選手もまたそれに応えようと精度の高い技術を見せ、サービスやマナーの向上にも努める。

PGAツアーのこれまでの寄付金の総額は約2896億円という驚くべき金額に達しているのだ。

専門家がそれぞれの役割を果たすPGAツアー

ツアーを巨大ビジネスとしてとらえ、その対価として社会貢献に努めるPGAツアー。

日本がこれをそっくり真似するということは難しいが、従来の日本ツアーの良さをキープしながら、海外での「チャリティ活動」などを参考にして積極的に取り組み、社会貢献を目指す体制が取れれば、スポンサーにとってもイメージアップにつながるため、長期に渡って応援してくれるスポンサーの獲得にもつながるのではないか? と思う。

選手やキャディに金銭援助
22トンの食料を寄付

©️PGA TOUR

2014年フェデックスカップチャンピオンのビリー・ホーシェルも食料の寄付を手伝った。

JayMonahan

ジェイ・モナハン

©️PGA TOUR

マサチューセッツ州出身。2017年1月1日より第4代PGAツアー・コミッショナーに就任。32歳でドイツバンク選手権のエグゼクティブディレクターを務め、ゴルフ以外のイベントでも敏腕プロデューサーとして活躍。
38歳でPGAツアーに移籍し、多彩なアイデア、行動力、リーダーシップを駆使し、ツアーを盛り上げている。

Text/Eiko Oizumi

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