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【ゴルフの夜明け】ベリーズ 世界遺産の大珊瑚礁を有する豊かな自然と歴史の国

世界にはゴルフ文化のない国、あるいは最近ゴルフ場ができたばかりという国がいくつもある。
ここでは、「ゴルフ発展途上国」の歴史と文化、“ゴルフの夜明け”との関係性などを紐解いていく。
第16回はベリーズを紹介する。

ベリーズ

中央アメリカ北東部、ユカタン半島の付け根の部分に位置。北はメキシコ、西はグアテマラと国境を接し、南東はホンジュラス湾を挟んでホンジュラス、東はカリブ海に面している。米国・マイアミ空港から飛行機で約2時間。

マヤ遺跡が密林に潜む元イギリス領のカリブの宝石

ベリーズ最大の島、アンバーグリス・キー周辺で見られるナースシャーク。グレート・ブルー・ホールにもさまざまな種類のサメが生息している。

中南米の森林に生息するネコ科のマーゲイ。準絶滅危惧種に指定されている。

1981年に英国から独立
アメリカ大陸で最も新しい国

ベリーズは中央アメリカの国だが、その起源は紀元前1500年~300年に遡る。
この地域全体でマヤ文明が栄えたが、その後1492年にクリストファー・コロンブスとともにヨーロッパ人がホンジュラス湾岸に到着。
1638年にはイギリス人が上陸し、スペインとイギリスで領有権を争った。
1798年にはイギリスが勝利し、1862年に正式にイギリス領ホンジュラスとして植民地化。
現在もイギリス連邦の一員で、チャールズ3世のもとで君主制の国家ではあるが、1973年に国名をベリーズとし、1981年に英国から独立した。
首都はベルモパンで、旧首都のベリーズシティに次ぐ大都市となっている。

ベリーズの歴史は、イギリスの植民地化によって、英語圏のカリブ諸国と密接に結びついているが、多様な人種と宗教の混在する国で、英語、スペイン語、クレオール語、マヤ語、ガリフナ語、ドイツ語など多言語が存在する。
中南米では最も人口の少ない国であり、国土の65%を熱帯雨林が覆っている。

世界第2の巨大珊瑚礁と多様な動植物が生息するジャングル

ジャングルに埋もれたラマナイ遺跡にある巨大仮面の神殿。これは紀元前100年頃に建設され、増築が繰り返された。

アンバーグリス・キーの、カリブ海に面した美しいビーチ。

グレート・ブルー・ホールと呼ばれる直径313メートル、最深部約130メートルの巨大な穴。ライトハウス・リーフの名を持つ珊瑚礁にあり、現地の人々から「海の怪物の寝床」と呼ばれている。

ベリーズは多様な動植物の宝庫であり、陸地の半分以上はジャングルだ。
また、ベリーズ・バリアリーフは世界第2の巨大な珊瑚礁であり、30種類以上のソフトコーラル、500種類以上の魚類、数百種の無脊椎動物が生息している。
驚くべきことに、まだ珊瑚礁の90%以上は研究されておらず、手付かずということだ。

一方、動植物の保護が問題となっており、2010年には底引網が禁止に。
観光、漁業、地球温暖化、海洋温度上昇などによる海洋汚染の脅威がベリーズにもあり、1998年以来、珊瑚礁の40%以上が損傷を受けていると言う。

ベリーズの訪問者の50%以上がアメリカ人

ベリーズ最大の都市・ベリーズシティの街並み。旧首都だが、度重なるハリケーン襲来による被害を避けるため、首都をベルモパンに移した。

ベリーズは主に農業、建設業に焦点を当てた民間企業経済だが、近年では原油、産業鉱物、石油製品の輸出に力を入れている。
砂糖は依然として輸出の主力だが、バナナやパパイヤも急成長。農業の成長は、政府の目標となっている。

また観光業も盛んで、古代マヤ文明の遺跡巡りや、ジャングル探検、カヤックでの川下り、美しい珊瑚礁見学、ビーチでのダイビングや釣り、フリーダイビングなどのアトラクションを楽しむことができる。
特に観光客に人気があるのは、世界で2番目の大きさを誇るベリーズ・バリアリーフだ。
この大珊瑚礁は、ベリーズ沿岸に広がり、カンクンからユカタン半島までのメソアメリカン・バリア・リーフの一部。年間30万人以上の人々がダイビングやスノーケリング、スキューバダイビングに訪れる、カリブのマリンスポーツのメッカでもある。「グレート・ブルー・ホール」や「アンバーグリス・キー」はぜひ訪れたい場所だ。

なお、ベリーズの訪問者の50%以上がアメリカ人であり、シニア層も多く訪れるそうだ。
ヒルトン、フォーシーズンズ、ラジソンなどの世界的なホテルチェーンもベリーズにホテルを建設中である。

ベリーズの食文化、音楽、スポーツ

©Getty Images

カヤックでの川下りもベリーズの人気アトラクションの一つ。洞窟をゴムボートで見学するツアーもある。

©Getty Images

↑2012年、エリザベス2世の「ダイヤモンド・ジュビリー(即位60周年)」を祝う式典に出席したヘンリー王子。ベリーズは、1973年に改名するまで、イギリス領ホンジュラスだった。

ベリーズではカリブ音楽が人気。
レゲエ、カリプソ、メレンゲ、ブルックダウンなどが人気だが、ジャマイカのソカ、ラップ、ヒップホップ、ロックなどもベリーズの若者たちを楽しませている。
最も人気のある楽器はマリンバだ。

スポーツについては、サッカー、バスケットボール、サイクリング、バレーボールが主要スポーツであり、陸上競技、ラグビー、クリケット、ボートレース、ソフトボールなども人気がある。
ベリーズのナショナル・バスケットボールチームは、1998年の「カプリコム男子選手権」での優勝や、2001年「中央アメリカ競技大会」制覇など、数々の国際的勝利を収めている。

ゴルフについては2004年にベリーズゴルフ協会が発足し、2021年にベリーズゴルフ連盟(BGF)を設立。
ベリーズのゴルフの普及と発展を担当しているが、女性や初心者向けのプログラムにも注力し、新しくゴルフ体験に参加させるための開発プログラムの創出に力を入れている。

Photo/Getty Imagesほか

ローリングリバー・ゴルフコース

Roaring River Golf Course
2000年に誕生した、9ホールのパブリックコース

Photo/Roaring River Golf Club & Accommodations

2番でもあり、11番としても使用するパー4。11番として使用する場合は、2番よりもティーが前にある。最小グリーンの一つだが、いったん乗せてしまえばラインは読みやすい。

マヤ遺跡に程近い現在、ベリーズ唯一のゴルフ場

Photo/Roaring River Golf Club & Accommodations

木々でセパレートされ、フェアウェイが真っすぐグリーンまで伸びているホールが多い。

Photo/Roaring River Golf Club & Accommodations

9番でもあり18番ホールでもあるパー4。コースの中では最も長いホールで、9番として使用する場合、ティーから島が中央にある池までは220ヤード。最も難しいホール。

Photo/Roaring River Golf Club & Accommodations

まるで、セントアンドリュースのスウィルカン橋のような橋がかかるティーグラウンド。

2つのティーがある9ホールのパブリックコース

ベリーズの首都ベルモパンに近いローリングリバーGCは、2000年にオープンした9ホールのパブリックコースだ。
各ホール、2つのティーがあり、フロント9とバック9で違うティーを使い分け、18ホール回れるようになっている(全長3892ヤード)。

木々でセパレートされたタイトなコースで、起伏もあるが、基本的には真っすぐフェアウェイが伸びる、シンプルな設計。
グリーンは小さ目だが、フラットでラインは読みやすい。

バーやレストランも完備しており、宿泊施設もある。
周囲にはマヤ遺跡もあるので、ゴルフ&観光で訪れるにはピッタリだ。

Photo/Roaring River Golf Club & Accommodations

「フォーシーズンズ・ベリーズ・ケイチャペル」で18ホールのゴルフ場を改修中

まるでモルジブのよう!2024年リニューアルオープンの予定

Photo/Belize Four Seasons Resort and Private Residences, Caye Chapel(Carlos Veron)

「ケイチャペル」と名付けられたプライベートリゾートアイランドにあるゴルフ場とリゾート。工事が遅れているが、2024年にオープン予定。

Photo/Belize Four Seasons Resort and Private Residences, Caye Chapel(Carlos Veron)

美しいカリブ海と生い茂るヤシの木を眺めながらのプレーは、まるでハワイかモルジブのよう。

Photo/Belize Four Seasons Resort and Private Residences, Caye Chapel(Carlos Veron)

フォーシーズンズリゾートがラグジュアリーなリゾートヴィラを建設中。

Photo/Belize Four Seasons Resort and Private Residences, Caye Chapel(Carlos Veron)

ヨットハーバーも完備。リゾートアイランド内にはヴィラのほか、ゴルフ場、プールなどもある。

Photo/Belize Four Seasons Resort and Private Residences, Caye Chapel(Carlos Veron)

海をイメージした落ち着いたインテリアの室内。全104棟のうち24棟は水上に浮かぶバンガローになっている。

世界第2の珊瑚礁に近いプライベートアイランドリゾートがオープン間近!

飛行機か水上チャーター便(船)でのみアクセスが可能な「ケイチャペル」と呼ばれるプライベートアイランドに、現在フォーシーズンズリゾートがヴィラと18ホールのゴルフ場を建設中だ。
もともとヴィラは2021年にオープン予定だったが、工事が遅れており、2024年オープン予定のゴルフ場にも遅れが生じている。

この島は、ユネスコの世界遺産にもなっているベリーズ・バリアリーフに程近い場所にあり、ベリーズシティから空路10分の距離だが、もともと15年前、米国人の富豪、ラリー・アディントン氏によって建設されたプライベート施設であった。

だが、それを現在はすべて改修し、ゴルフ場も建設中だという。
ゴルフだけでなく、ベリーズ・バリアリーフでのスノーケリングやダイビングも体験できる、夢のような島。
日本からは遠いが、リゾートが完成した暁には一度は訪れたい場所になるだろう。

Photo/Belize Four Seasons Resort and Private Residences, Caye Chapel(Carlos Veron)

Text/Susanne Kemper

スザンヌ・ケンパー(スイス)
オーストリア国籍、スイス在住。20年以上にわたって米国、欧州を中心に世界中を旅しながら、ゴルフ誌やライフスタイル誌に寄稿。5ヶ国語を操る。

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