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【ゴルフ上達のメンタル法】vol.24後編「ラウンド中に役立つちょっとした疑問を解決する考え方のヒント集 」

ゴルファーのバイブル『禅ゴルフ』のジョー・ペアレントが『ゴルフ・グローバル』の読者のために特別寄稿!

自分の「心」を味方につければミスは激減する!

ゴルフの実力レベルに関わらず、ラウンド中の気持ちの持ち方やショットを打つ前、あるいは打ったあとの考え方で「こういう時は、どう考えればいいんだろう?」というちょっとした疑問を抱くことは多いはず。
そんな、初心者からトップレベルのゴルファーが共通して抱く疑問に対する解答集の後編をお届けする。

Joe Parent
(ジョー・ペアレント)

過去、ビジェイ・シン、デビッド・トムズ、クリスティ・カーら男女有名米ツアー選手のメンタル面をコーチ。著作にベストセラー『禅ゴルフーメンタル・ゲームをマスターする法』などがある。米国『ゴルフ・ダイジェスト』誌で世界のトップ10に入るメンタルゲーム専門家に選ばれ、何千人ものあらゆるレベルのゴルファーを指導。公式HPは、drjoeparent.com

ゴルフスイングは「水切り」と同じ。
技術的なことを考えすぎずに体の自然な動きの流れとタイミングで!

Illustration/Masaya Yasugahira

前号では、私が指導している初心者から年間最優秀選手までの幅広い層を成功へと導いた、最も人気のあるヒントをいくつか紹介した。
今回もたくさんのゴルファーから好評の、「禅ゴルフ」的アドバイスをお届けしよう。

練習場でもボールを目標に送り出す意識が大事

ゴルファーは時にボールを打つことにあまりにも集中しすぎて、スイングの目的が「ボールを目標方向に送り出すこと」というのを忘れてしまう。
そのため、目標に向かってスイングの最下点を通過し、芝をなでるような見た目のいい素振りをするゴルファーをよく見かけるが、いざボールの前に立つと、まるで薪を斧で割るかのようにボールを打ち砕く動作をしている。
つまり、ボール目がけてスイングしているのだ。

ボールを打つことが自分の仕事だと考えてしまうと、インパクトで終わってしまい、その後も十分にエネルギーを使ってフォローをとることができない。
しかし、ボールを目標に向かって運ぶことが仕事だと考えると、インパクトゾーンを通り過ぎてフォローへとつながる、より良いスイングを行なうことができる。
かつて、2人の若い生徒が私の机にメモを残してくれたことがあった。

「先生、僕たちは練習場で、ボールを目標に向かって送り出す練習をしています」と書かれており、私はとても誇らしい気持ちになったものだ。

水切りとゴルフスイングの共通点

ゴルフを始めて間もないゴルファーと一緒に練習する時、彼らはよくスイングレッスンで学んだ技術的な指示を思い出そうとする。
その結果、リズムや流れがなく、まるでロボットのように機械的なスイングになってしまう。
彼らがもっと自然に、そしてアスレチックな動きが感じられるようにするために、私は体の位置や動作の技術的な指示をたくさん与える代わりに、彼らがすでに知っている感覚を使おうと試みる。

皆さんも池や湖のそばを歩いている時、小さくて平らな石を見つけ、それを低く横から投げて、「水切り」した経験があるかもしれない。
この、石を水面でスキップさせる動作には、ゴルフスイングの重要な動きが含まれている。
右利きの場合、右側に体重を乗せて、いったん止まってから下半身の動きで投げ始めること、体重を前方に移すことが含まれる。
上半身が少し後ろに残ったまま、腰を回転。右ヒジは体に近づき、右手首はリリース直前まで折りたたまれたままになる。
そして自然なフォローが取れ、ゴルフスイングの良いフィニッシュとあまり変わらない位置に行き着くのだ。

一つ一つの動きをトレーニングするのではなく、自然な体の動きとタイミングについて、すでに体がよく知っている一連の動きをまとめて活用できるのが、このスイングのカギ。
これにより、流れるようなスイングを妨げる意識的で技術的な思考を減らし、自然な動きを短時間でゴルフスイングに取り入れることが可能だ。

自分自身のキャディになる

もし、トーナメントで友人のキャディを務めるとしたら、彼が悪いショットを打ったときに叱ったり、危険性の高いショットを提案して大叩きさせたりはしないだろう。
むしろ、ポジティブで支援的な態度を取り、彼がすべてのショットに対して計画を立てるように促し、打つ前にしっかりと準備ができていることを確認するにちがいない。
それなら、自分自身にとって良いキャディになったらどうだろうか?
自分に対してポジティブな言葉をかけ続け、自分のルーティーンの大事なポイントを思い出させ、もし自分が誰かのキャディを務めているなら、どんなショットをススめるかを考えながら、自分のレベルに見合ったショットを選ぶのだ。

中途半端な距離でのクラブ選択

ショットでどのクラブを使うか迷ったとき、数字上の計算に基づいて選ぶよりも、直感に従った方が良い結果を得られることが多い。
それぞれのクラブで構えてみて、体の緊張感をそれぞれ感じ取ってみよう。
もし一方のクラブが不安を感じさせ、もう一方のクラブが安心感を与えるなら、どちらのクラブでより自信を持ってスイングできるかは明確だ。
直感を信じて、自分の心と体にとって違和感のないクラブを選ぼう。

不自然なスタンス

ショットする際、通常とは違う不自然なスタンスを取ると、その違和感に気を取られて、必要なスイングに集中できなくなる。
スタンスとスイングの角度に馴染めば馴染むほど、ショットに対する安心感が増すのだ。

クラブを手に取り、スタンスを取ってみよう。
そして少しワッグルすることで、そのポジションでスイングする感覚を掴むこと。
次に自分の体をそのスタンスの感覚に慣れさせる。
この時、「実際にスイングするときはこんな感じだ」と自分に言い聞かせよう。
次に、ルーティンの最初に戻り、スタンスを再び取ると、すでにその感覚に馴染み、違和感が少なくなり、ショットに集中しやすくなる。
その結果、成功する可能性が高まるだろう。

素振りではボールがあるかのように
本番ではボールがないかのようにスイングする

Illustration/Masaya Yasugahira

ユニークなショートゲームのルーティーン

ここでは、直感とテクニックを組み合わせて良いアプローチショットをし、プレーしながら上達する方法を紹介しよう。

まず、自分のボールのライに似た芝を探してほしい。
たとえそれがボールから少し離れた場所であってもかまわない。
そこにボールがあると想像し、芝の中をクラブが通る感覚を掴むために数回スイングしてみよう。
芝がクラブにどのような影響を与えるか、またどれくらいしっかりとクラブヘッドを振り抜く必要があるかを感じ取ること。
そして、スイングする芝の質を知った上で、これから打つショットについて考えよう。
ボールがどのように飛び、どのようにコロがってカップに近づくかをイメージすること。

次に、ボールがそこにあると想像しながら1~2回、リハーサルスイングを行なう。
ボールが沈んでいる場合は地面に接触させ、ボールが浮いている場合は芝の上を軽くなでるようにスイングしよう。
フィニッシュまできちんと振り切って、リハーサルスイングしながら、今行なったスイングの大きさや力加減で、イメージしたショット通りに打てそうだと感じられるまで続けるのだ。
そして、「これだ」と自分に言い聞かせること。

次にショットをする際は、ボールに対して構えるが、ボールがそこにない、まるで見えないかのように想像する。
そして自分に「もう一度、さっきのスイングを芝生の中でやってみよう」と言い、リハーサル時のスイングの感覚、力加減、大きさを再現するようにベストを尽くそう。これがコツだ。
素振りはボールが目の前にあるかのように行ない、実際のショット時にはボールがないかのようにスイングする!ボールを打つことよりも、クラブヘッドが芝を通り抜けることに集中すると、より良いスイングができるだろう。
これをうまくやると、ごほうびがもらえる。意図したスイングを再現できれば、イメージした通りの結果を得られるし、そうでなくても、もっと大きく、あるいは小さくスイングをすればよかったとか、もっと強め、あるいはソフトに打つべきだったということが学べるのだ。
そのようにして、すべてのショットから学ぶことができ、アプローチで必要なスイングを判断する能力がどんどん向上していくことだろう。

Illustration/Masaya Yasugahira 

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