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【ゴルフの夜明け】ガイアナ共和国 コロンブスが初上陸した「エルドラド伝説」の国

世界にはゴルフ文化のない国、あるいは最近ゴルフ場ができたばかりという国がいくつもある。
ここでは、「ゴルフ発展途上国」の歴史と文化、“ゴルフの夜明け”との関係性などを紐解いていく。
第9回はガイアナ共和国を紹介する。

コロンブスが初上陸した「エルドラド伝説」の国

©️Amanda Richards

毎年2月23日に開催されるガイアナ共和国誕生を祝うフェスティバル「マシュラマニ」。ガイアナの民族グループが参加する数少ないフェスティバルの一つだ。

©️David Digregorio

一段の滝としては、世界一の高さ226メートルを誇る「カイエチュールの滝」。ナイアガラの5倍の高さがあり、ジョージタウンから小型機で約1時間の場所に位置している。 

首都ジョージタウンにある、イギリス国教会のセントジョージ大聖堂。ガイアナで最も高い、世界最大級の木造建築物の一つで、ジョージタウンのシンボル的存在。

南米とカリブの文化が融合した南米の小国。
今後は観光業がカギ

ガイアナには熱帯雨林地帯(ジャングル)があり、ジャガーもいる。

インド系移民が国民の約半数を占めるガイアナでは、インド料理が国民食。

ガイアナ? ギニア? ギアナ?

ブラジル、ベネズエラ、スリナム、そして大西洋に囲まれた「ガイアナ」は、ウルグアイ、スリナムに次いで南米で3番目に小さい国である(面積は約21万5000平方キロメートル)。
地理的には 「ギアナ高地」は、アマゾン川とオリノコ川の流域に位置する大きな楯状地で、「水の豊かな大地」と呼ばれ、9つの先住民族の居住地であるが、世界で最も人口の少ない国の一つだ。
1596年のサー・ウォルター・ローリーに先立ち、コロンブスが1498年にヨーロッパ人として初めて「ガイアナ」を発見。
1581年にオランダが最初の植民地を建設し、その後、イギリスが続いた。1776年にイギリスが3つの「ギアナ」を支配し、シモン・ボリバルはイギリスと争ったが、イギリスが勝利。
1966年に独立するまで統治した。
英連邦に加盟した「ガイアナ」は、1970年に共和制に移行し、2010年に南米諸国連合(UNASUR)に加盟。
カリブ海の島々の文化と、南米の山、森、乾燥地という土地柄の文化が融合した独特な国である。
ガイアナは、カリブ共同体(カリコム)の本拠地。
前ガイアナ観光局局長のデビッド・シンクレア氏は、「ガイアナの森、山、川が素晴らしく多様であるため、カリブ海の島々の文化よりも南米志向が強いが、音楽、料理、芸術など、カリブ海の強力な文化遺産も多くある」と感じている。
公用語は英語だが、ほとんどの人がアフリカやアメリカ先住民(アメリカ・インディアン)の影響を受けたガイアナ・クレオール語を話す。
「ガイアナ」は非常に多様性に富み、「素晴らしいカリブの雰囲気」を持つ魅力的な国だ。

なお、「ギアナ」と「ガイアナ」「ギニア」は非常に紛らわしいが、ベネズエラの東隣がガイアナ共和国、一つ置いて隣がフランス領ギアナだ。
ギニアは西アフリカの国である。 

カリブ海の近隣諸国と同様に、ガイアナの文化にも明らかに英国の影響がみられる。
アフリカからやってきた移民や奴隷がキリスト教を取り入れ、その価値観の多くが現在のアフロ・ガイアナ人に反映されているのだ。
インド系移民が後に到着したことで、宗教、音楽、祭り、料理、さらには衣服に至るまで、インド系ガイアナ人としての側面をより多く維持することができた。
一方、アメリカ先住民(アメリカ・インディアン)は、熱帯雨林の地域で遠隔地に住んでおり、南米との大きなつながりを持っている。
ガイアナは小国ながらも、音楽、芸術、料理、文学、そして多種多様で活気に満ちた祭りなど、非常に多様性に富んでいる。ガイアナ人はとても華やか。
オープンで陽気だ。

南米北東部に位置するイギリス連邦加盟国の一つ。
東はスリナム、西はベネズエラ、南はブラジルと国境を接し、カリブ海、大西洋に面する。首都はジョージタウン。南米で3番目に小さな国で、唯一英語が公用語の国でもある。
ガイアナ(ギアナ)は「豊かな水の地」を意味する。

原油の発見に沸くガイアナ
観光部門の拡大がカギ

ガイアナは、農業を中心に発展し、デメララ糖、米の生産やエビ漁などが盛んだったが、金やボーキサイトなどの多様な鉱物資源もあった。
サトウキビ農場には、最初はアフリカから、次にインドから奴隷が連れてこられた。
独立後、国有化された産業は苦戦し、負債が急増したが、2006年から2007年にかけて世界銀行とIMFが救済。
2019年に掘削が開始された大西洋岸での大規模な原油の発見があり、新型コロナウイルス感染症拡大の影響で、ガイアナのGDPは40%超跳ね上がったという。
2021年は、原油の成長が顕著だが、20%の増加にとどまると予測。
また、さまざまな国際的な支援を受けて、ガイアナの原生林の維持にも引き続き力を入れている。
大幅な税制改正や民間企業の組織化により、ガイアナの経済部門の調和と近代化が図られたようだ。
ガイアナは、水力発電やバガスを燃料とする発電に大きな可能性を秘めているが、国営公益企業の近代化が必要だ。

政府は、交通インフラの拡大、整備を行なっており、2年以内に首都ジョージタウンに5000軒の宿泊施設を増やすことを目標にしている。
観光部門の拡大が重要なカギとなっており、ジョージタウンでの新規プロジェクトをはじめ、その他の地域でも、繊細な環境を十分に保護しながら、独自のエコツーリズムを展開している。

©️Zachary Johnston

熱帯雨林のジャングルの中にある、レワ・エコ・ロッジ。アメリカ・インディアンのコミュニティに位置し、大自然と野生動物に囲まれながら宿泊できる。

レワ川では、弓矢を使ったフィッシングも楽しめる。

©️David Digregorio

ジョージタウンにあるモニュメント。刻まれている1763年には、バービス地区で黒人奴隷の大反乱があったとされている。

ナイター施設完備、首都にある練習場

ネクスジェンゴルフアカデミー&練習場

NexGen Golf Academy & Driving Range

©NexGen Golf Academy & Driving Range

ガイアナゴルフ協会・代表のアリーム・フセイン氏がガイアナにアカデミー&練習場をオープン。現在は、ゴルフの普及のため、自らが指導にあたっている。

©NexGen Golf Academy & Driving Range

芝の上から打てる環境が整えられている練習場。

©NexGen Golf Academy & Driving Range

ガイアナゴルフ協会代表のアリーム・フセイン氏。ガイアナでのゴルフ普及に尽力している第一人者だ。

©NexGen Golf Academy & Driving Range

ドレスコードはなく、Tシャツ、GパンでもOK。初心者でも気軽にゴルフを始められる。

©NexGen Golf Academy & Driving Range

視覚障害者たちへのレッスンも、行なわれている。

障害者ゴルファーも支援
ゴルファー育成に注力

照明完備のゴルフアカデミー&ゴルフ練習場は、オープン以来、 400人超のプレーヤーが積極的にゴルフを学び、子ども向けのキャンプは即完売するなど、ダイナミックな成功を収めてきた。

「ゴルフ人気が日々勢いを増し、全国での注目度が高まる中、最高のトレーニングに対する需要が高まり、我々はより多くのトップコーチを探すことになりました」と、ネクスジェン創業者のアリーム・フセイン氏は語る。

また、ガイアナゴルフ協会とネクスジェンは、地域企業からの協賛を得て、2020年の設立以来、障害を持つ若者がゴルフ、卓球、アーチェリーなどのスポーツに挑戦する2~3日のクリニックやキャンプを各地で開催している。

3ホールのゴルフ場開発でより多くのゴルファーを

ゴルフの発展と育成を続けるためには、ゴルフ施設の開発と建設が必要である。
「ゴルフは他のスポーツに比べて広いグラウンドが必要なので、コストを抑えるために、6~10エーカーの土地しか必要としないコンパクトなコースを設計した。これにより、誰もがゴルフを体験することができ、子どもや家族がアクセスしやすい」とフセイン氏は言う。
バンカー、池、グリーンを伴う、3ホールのレイアウトで、様々なオプションでプレーすることができるため、平均的なゴルフ場で必要とされるショットを学ぶことができるのだ。
ガイアナをはじめ、インフラや土地、資金がない国にとっては非常に実用的なコンセプトだ。

イギリスの植民地時代に造られた、ガイアナ初のゴルフ場

ジョージタウンゴルフクラブ&ルシニャンゴルフクラブ

George Town GC & Lusignan GC

エリザベス女王も訪れたガイアナ最古のゴルフ場

©Lusignan GC

イギリスの植民地時代に造られた9ホールのジョージタウンGCが、場所を変えてルシニャンGCとして営業している。

©Lusignan GC

3ホールを使ってコンペも開催されている。9ホールのコンペよりも気軽に参加できる。

今はエリザベス女王の名を冠した公園に

多くのイギリス植民地と同様に、イギリス領ギアナの植民地住民は、植民地時代にクラブや協会を設立した。
ジョージタウンGCは、1929年に設立された9ホールのレイアウトで、クラブハウスを備えたゴルフ場である。
1966年にガイアナが独立するまで、ゴルフは専らイギリス人たちのものだった。
クイーン・エリザベス2世がガイアナを訪問をしたが、独立後、ゴルフクラブの土地はクイーン・エリザベス2世国立公園となった。

1960年代半ばからは、9ホールの新しいゴルフ場が開発され、クラブはルシニャンに移転し、ルシニャンゴルフクラブとして知られるようになった。
設立当初からゴルフとクラブを管理していたイギリス人が去ると、地元の人々がゴルフを学び、参加し、プレーするようになったのだ。
当初、地元の人々は、英国の高級クラブのスタイルを維持しようとしていたが、2017年、アレム・フセイン氏がルシニャンGCの会長に就任。
ガイアナのゴルフ発展に尽力した彼は、定期的なトーナメントを創設・開催し、ゴルフやクラブに関する多くの活動を開始。
ゴルフの伝統やエチケットを厳守しながら、興味のあるすべての人にゴルフ場を開放した。2021年コース名は「ルシニャンゴルフコース」となっている。  

現在、ガイアナ唯一のコースであるルシニャンGC。
フェアウェイとグリーンには地元産の芝が使用されており、国際的な基準のコースでのプレーに慣れたゴルファーやゲストにとっては難易度の高いコースとなっている。

ゴルフ場建設ラッシュのガイアナ

チェディ・ジェーガン国際空港から車で30分の位置にある、マライコベイリゾート・タウンシップ。大西洋に面し、5つ星ホテルやショッピングモール、学校、住宅などが立ち並ぶが、ここに18ホールのゴルフ場を建設予定。

フラットな新設コースイメージ。フロント9のコースの建設工事が近々行なわれる予定だ。

ガイアナでは現在、西デメララ州のクレーンに3ホールのコースを建設中で、2022年にはさらに4つの3ホールコースを各地に建設する予定だ。
マライコベイゴルフリゾート初の9ホール、マハイカ(デビッド・ホムストック設計の18ホール)がオープン予定である。
また、「アシュミンズ・リゾート」という18ホールのコースも計画段階で、スポーツ大臣のチャールズ・ラムソン氏は、3ホールのコースと同様に、これらのプロジェクトの開発を支援している。

また、ネクスジェン・ゴルフとガイアナゴルフ協会は、将来的に「世界アマ」をガイアナで開催することに合意。
ガイアナに少なくとも3つの18ホールコースが開発されることを条件に、最も早くて2024年に開催される。

Photo/Guyana Golf Association、Lusignan Golf Course、Mariko Resort

Text/Susanne Kemper
Photo/Malta Tourism Authority、Royal Malta Golf Club

スザンヌ・ケンパー(スイス)
オーストリア国籍、スイス在住。20年以上にわたって米国、欧州を中心に世界中を旅しながら、ゴルフ誌やライフスタイル誌に寄稿。5ヶ国語を操る。

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