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【世界トッププロ達のFamily・家族の絆】第11回「トミー・フリートウッド」

世界のトッププロたちは、毎週各地を転戦し、自宅で家族と過ごす時間はあまりない。
しかし過酷なスケジュールの中、頑張れるのも家族がいるから。
プロたちの大事なチームである家族を紹介する。

連載第11回は、トミー・フリートウッド。

Tommy Fleetwood
トミー・フリートウッド

©Getty Images

2019年、自らがホスト役として開催した「ベトフレッド・ブリティッシュマスターズ」。地元イギリス・サウスポートで開かれ、自身もプレー。家族も応援に駆けつけた。右から2番目はクレア夫人、フリートウッド(中央)が抱えているのはフランキーくん。他の2人(オスカー・クレイグくん、モー・クレイグくん)は、クレア夫人の前夫との子供だ。

イングランドの実力派プレーヤー、トミー・フリートウッド。
長髪と独特の雰囲気がカッコいい選手で、東京オリンピックにも出場し、ゴルフファンを沸かせた。
彼は20歳も年上の女性と結婚し、「愛があれば歳の差なんて」を地でいく男性。世の女性からすれば、救世主のような存在だ。

トミー・フリートウッド
(イングランド)
1991年1月19日生まれ。178cm、76kg。「アブダビHSBC選手権」(2017年)など欧州ツアー6勝。2011年には20歳290日で欧州ツアー史上最年少賞金王に輝いた。米ツアーでは未勝利。昨シーズンはフェデックスカップランキングで137位と低迷し、シード権を失った。長髪とヒゲがトレードマーク。2018年、2021年「ライダーカップ」出場。

20歳年上のマネージャーと交際の末、バハマで挙式

©Getty Images

もともとマネージャーだったクレアさん(右)とは、20歳差。2017年12月に入籍した。

「歳の差交際」が英国のゴシップ紙を騒がせた

無精ヒゲとロン毛がトレードマークのトミー・フリートウッド。
ゴルフ場で会わなければ、まるでミュージシャンかと思うような風貌を持つイケメンは、来年1月に31歳を迎えるイギリスを代表するプロゴルファーだ。

そんな彼には、現在子供が3人いる。義理の息子が2人に、2017年9月に生まれた4歳の男の子、フランキーくんの3人だ。
きっと女性にモテモテだったと思われるフリートウッドの過去の女性遍歴については、どんなに調べても1人の女性の情報以外はまったく出てこない。
2015年から20歳年上の女性が彼のマネージャーを務め始めると、彼女と真剣交際がスタート。
2017年9月には2人の間に息子が誕生している。
そしてその3か月後に挙式。
タイガー・ウッズが毎年ホストを務める「ヒーロー・ワールドチャレンジ」に出場していた彼は開催地バハマのビーチで限られた友人だけを招待し、全部で40人ほどで結婚式を挙げた。

「僕たちが付き合い始めた頃は、いったいどうなるのかまったく予想できなかったが、何かうまくいかないことがあると、2人で腹を割って話し合ったんだ。いろいろなことを試してきたが、幸いそれがうまくいっている」

彼女はクレアさんというイギリス人女性で、1971年生まれ(今年50歳)。
1991年生まれのフリートウッドとはちょうど20歳差だ。
もともと彼女はハンブリックスポーツ・マネージメントというアスリートの事務所のヨーロッパ支社の副社長を務めていた(ちなみに、フリートウッドの兄のジョーはプロゴルファーだが、同社のマネージャーでもある)。
自らフリートウッドのマネージャーを2015年から務めていたが、仕事上の付き合いが進むにつれ、男女の付き合いに発展。
交際を開始した時は、フリートウッドが24歳、クレアさんが44歳だったという。

世界のプロゴルファーたちを見ても、奥さんが20歳年上という例は彼らを除いて皆無だろう。
たいていは男性の方が年上で女性は年下、あるいは同級生というパターンが多い。
もちろん年上女房もいるが、せいぜい10歳以内に収まっている。
だが、フリートウッドとクレアさんの間にはまるで親子ほどの歳の差があり、交際が明るみに出ると、歳の差を話題にするゴシップ記事も多かったようだ。
交際開始後しばらくは20歳という年齢差にためらう時期もあったようだが、交際の末、結婚を決意。
結果的には「できちゃった婚」のような形になっているが、きちんと「男のケジメ」をつけ、クレアさんの前夫との子供(オスカーくんとモーくん)も自分の息子として育てている。
彼らはフリートウッドが生まれ育ったイギリス・サウスポートで家族5人仲良く暮らしており、時々家族全員でバケーションに出かけることもあるという。

シニアツアーに行くと、長年連れ添った妻と離婚して、自分の娘とあまり変わらないような若いブロンド美女と結婚しているような男もいる。
それに対して「愛があれば歳の差なんて関係ない」と周囲の雑音に左右されることなく、家族を大事にする彼には憧れすら抱いてしまう(特に私のような独身女には、こういう話は刺さりやすい……苦笑)。
そんなところも彼の魅力の一つだ。

1人の実子と2人の義子の父として家族を守るフリートウッド

©Getty Images

2018年、フランスで開催された「ライダーカップ」に出場したフリートウッド(右)とクレア夫人。彼女は172センチと長身だ。大会のガラディナーがベルサイユ宮殿で行なわれた。

©Getty Images

2017年11月にドバイで開催された「DPワールド・ツアー選手権」で年間王者を決めたフリートウッド(右)。この2か月前にフランキーくんが誕生していたが、当時はまだ入籍前だった。

もともと短髪だった彼が髪の毛を伸ばし始めた理由

©Getty Images

父のピートさん(右)が「スキンヘッド」なので、自分は長髪を楽しみたいと髪の毛を伸ばしているという。

ロン毛のきっかけは父にあり

フリートウッドは、イギリスのリバプールから車で小1時間ほどのサウスポートに生まれた。
彼の父ピートさんは、工事現場の労働者で長年の重労働によりヒザにケガを抱えていたが、フリートウッドがプロ入りし、試合に出る際にはカートにバッグを積んでキャディを務めていたという。

だが、その後ヨーロピアンツアーの規定でキャディのカート使用が認められなくなり、ヒザの痛みを抱えるピートさんをキャディに起用することができなくなってしまった。

そこでピートさんは、自分に代わるキャディを1年かけて探し始めた。

「彼(トミー)に最適なキャディを探すことが今後下さなければいけない最も重要な決断の一つだ。彼の性格に合うキャディを探さなければ……」

それが、現在も担いでいる長身のイアン・フィニス氏。
フリートウッドとは13歳の頃からの付き合いだという。

こうしてピートさんは、フリートウッドのゴルフ人生に大きな影響を与えてきたが、影響を与えたのはそれだけではない。
彼のトレードマークでもある「ヘアスタイル」にも大きく関係している。

ピートさんはスキンヘッドである。年々薄毛になっていく父の頭を見て、「髪の毛があるうちは、それをエンジョイしよう」とフリートウッドは思った。
そこで髪の毛を伸ばし始めたと、イギリスの「ミラー」紙に語っている。

「僕の父はハゲてきたから、ボクはできるだけ長く伸ばして、ロン毛人生を楽しもうと思ったんだ。そしてゴルフにおいて、ファッションの境界線の壁を破ることも楽しんでいる。以前は、バンダナやヘッドバンドをしていたこともあったし、今はテーパードパンツ(裾に向かって細くなっていくスタイルのパンツ)を履くのが好きだ。ゴルフは新しいやり方、ルールで未来に進んでいるんだから、ファッションも変化していくべきでしょう?」

ファッションアイコンでもある彼のルーツは父にあった。そして、もし父のようにハゲてきたとしても、「それほど気にしない」と語っている。

Text/Eiko Oizumi Photo/Getty Images

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